第130話 傷つける友人、助ける他人 その68
下駄箱で、結が写真を撮っていたと知った冬沢先生は、結へ写真を送るように申し出た。
その時に結は小声で「写真の内容はまだ他の人に話さないでください」と頼んできたのだ。
初めは『情報が漏れたらそれで間違った噂が広まってしまう危険がある』と思った。だが結は「犯人が仕掛けを回収しやすくするため」でもある、と話したので、冬沢先生はそれにのることにしたのだ。
五時限目の休み時間で仕掛けの事を言わなかったのは、結の提案があったからだ。その結果、結はこの事件を見事に解決へと導いた。
「霧島は、頭がいい子ですからね。それに冷静で、観察力も高いです。そして困っている人を見たら助けるために動く。本当に、素晴らしい生徒です」
自分の生徒が、困っている人を助けるために動いた。春山先生は、それが誇らしかったのだ。
「他人の痛みに寄り添えるところも、霧島さんの良いところですよ。今回は、それで竹町さんが心を開いたから、すぐ解決したのだと思います」
実際、結は竹町を責めずに理由を聞いて、助けようとしたのだ。親の力を使って接近禁止した華のやり方も功を制したが、こんなに早く解決したのは結が相手の話を聞こうとしたからだ。
「これで、杉村さんと竹町さんはもう大丈夫ですね。あとは、終野さんですね…」
転校した後も、カウンセリングを受けさせる、と宣言した両親に告げられても、終野は最後まで俯いたままだった。
その後、終野は両親と一緒に一足早く帰宅する事となり、特別室から出てきた先生から鞄を受け取った後、両親が乗ってきた車で自宅へと戻っていった。
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