第125話 傷つける友人、助ける他人 その63
「終野さん、ご両親はこれから貴女の心の治療に付き添うと言っていました」
目線を合わせるように、結は終野の前でしゃがんだ後にそう話した。
「貴女の心の傷は、友人の力だけでは治せないほど深いのです。専門の方の力を、借りなければならないほどに」
何も反論しなかった終野へ、結は責めるのではなく少しでも気づいてもらうために続けてこう言った。
「まずは、ご自分の心にも問いかけてみてください。なぜこんなに辛いのか?本当にしてほしいのはどんな事なのか?周りの人達の力を借りて、ご自分の心の傷に向き合ってください」
心の傷が、何年かかっても治らないことがある。だから結は、簡単に『治せる』とは言わなかったのだ。それを言うのは、これから終野と関わる心の専門家の役目だから。
「……………」
終野は、何も言わなかった。
ただ、もう目から涙は出てなかったのだ。涙が止まったのか、または枯れ果てたのか、それは終野本人しか分からない。
「これから、すべての真相を先生方にお話しします。よろしいですか?」
「…うん。私、すべて話す」
後ろで聞いていた竹町は、償うためにはっきりと頷いた。
「私も付き添うよ。さやちゃん、すごく辛い思いをしていたから」
被害者である杉村は、加害者だけど親友でもある竹町のためにそう言い切った。
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