第121話 傷つける友人、助ける他人 その59
「絵里ちゃん…!?」
前に聞いたことがある、転校する前の親友の名前に杉村と竹町は同時に驚きの声を漏らした。
「絵里ちゃん、急にいなくなったんだよ!!ラインを送っても返事は来ないし!!」
泣き叫ぶ終野を見て、結は終野のスマホを操作する。
「確か、その方は前の中学校での同級生ですよね?」
結から出たその質問に、三人は思わず結に注目する。
「すみませんが、先週、終野さんの御両親が家に来た時にいろいろと質問させていただきました。その中にその絵里さんの話が出てきたのです」
絵里の事は、終野の両親も知っていた。急に連絡が取れなくなった、と聞いた結の父親は、高校時代の後輩が勤めている興信所に頼んで調べてもらったのだ。
「絵里さんは、終野さんが転校していった後、他の同級生達と仲良くなりました。そこで、杉村さんの時と同じように、終野さんが絵里さんに自分の考えを押し付けていたことに気づいたのです」
絵里は気弱で、独りぼっちになる事を恐れていた。それで、強引であれこれと振り回す終野から離れられず、学校でも休日でも終野の言うがままに過ごしていたのだ。
「新しい友達ができて、しかもその友達はお互い違っていても尊重してくれる。それで心が軽くなって勇気づけられた絵里さんは、終野さんと決別する事を決心したんです」
動揺している終野へ、結はスマホの違う画面を見せた。
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