第120話 傷つける友人、助ける他人 その58

「なんで!?どーして!?」

 もう友達に戻れない、という杉村の宣言に、終野は半狂乱になった。

「…中学の頃も、さやちゃんに嫌がらせをしていたって聞いたよ」

 ここへ向かう前に、竹町は今まで話せなかった事もすべて杉村へ打ち明けた。

 中学生の時に流れた噂は、終野が流したものだった。それに対して竹町が否定できなかった理由は今と同じで、『着替えの写真をネットでバラまく』と脅されたからだ。

 本当にその場でそうしかねない終野の迫力に、竹町は従うしかなかった。だから、当時の竹町は噂を否定できずに、ただ耐えるしかなかったのだ。

「なんでさやちゃんにそんな事をしたの!?一緒に仲良くしていたのに!?」

 三人で楽しい思い出があったからこそ、終野が竹町へそんな事をしたのが許せなかった。

「…藍ちゃんが、一番の大親友だもん」

「え?」

「今の私には、藍ちゃんしかいないんだよ!!中学の時に一番仲良かった絵里ちゃんが、急にいなくなったから!!」

 悲痛な叫び声が、終野から飛び出てきた。 

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