第97話 傷つける友人、助ける他人 その㉟

 次の日の朝、杉村はご機嫌な顔で学校に向かっていた。

 昨日、華が主催したプチパーティーは楽しかった。入学した後に、同じく華が主催した喫茶店でのパーティーでは終野が最後までべったりくっついており、食べ物も勝手に取ってきた物を食べさせられていたので全然楽しめなかったのだ。

 だが、昨日のプチパーティーは好きな物を気兼ねなく食べれたし、自分のペースで他の同級生達とお喋りができた。

 服装も終野の趣味に合わせたフリルが多いワンピースではなく、動きやすい恰好で行けたのだ。

 もしかしたら、華が気遣ってわざわざパーティーを開いてくれたかもしれない。前の時は終野が居たから楽しめなかったから、と。

 本当に、華達のおかげで幸せな日常を送れるようになった。杉村は心から、華達へと感謝していた。

 そして、もう悩まされずに、学生生活を送れる。

 しかし、杉村はこの時、予想すらしなかった。まさか、それに水を差す出来事が起きるとは…。



 昼休み、杉村は華達と一緒にお弁当を食べていた。

 今日も華から、お昼を誘われたのだ。もちろん断る理由がなかったので一緒に机を動かした。

 結と、他に数人の女生徒達と共に机を合わせ、長方形のテーブルみたいにする。それぞれ椅子に座った後、食べながらいろいろ楽しく話をした。 

「おーい!大変だ!!」

 食べ終わった後、一足早く教室を出ていた男子生徒が教室のドアを開けながら入ってきた。

「どうしたんだ?」

 結達から離れた場所の自席にいた満が、座ったまま聞いてくる。

「杉村の下駄箱が、真っ黒になっている!!」

「―!?」

 皆の表情が、驚きと動揺へと変わった。杉村が不安な顔で立ち上がると、大急ぎで教室から走っていく。

「私も、行きます」

 結も立ち上がり、杉浦の後を追いかける。続いて華と、満と流も立ち上がると、同じく玄関まで走り始めた。

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