第68話 傷つける友人、助ける他人 その⑥
「―っ!?」
終野が足をじたばたさせるたびに、結の足から痛みが感じられてきた。
それでも結は、杉村をしっかりと支えていた。それが気に入らなかったのか、終野はますます動きを少しづつ激しくする。
「やめろ終野!霧島の足に当たっているぞ!!」
満の叫びに、結も自分の足に注目する。ちょうど終野のつま先が、ジャージの上から結の足へダメージを与えていた場面が目に入ったのだ。
「結っ!痛くない!?」
慌てて華が、結と終野の間へ入り込む。
「…ええ」
何度も強く蹴られたのか、結の足は痛かった。だが、華達を心配させないために、結はそう返事をしたのだ。
「霧島さん、一緒に保健室へ行って、足を見てもらいなさい」
冬沢先生の鶴の一声で、結も共に保健室へ行くことが決まったのだ。
「終野さん、これ以上結の邪魔をしないでくれる?」
さらに抗議の声を出そうとした終野へ、華は少し怒りをにじませた顔で牽制したのだ。
「…っ!?」
華だけでなく、満と他の同級生達からも睨まれ、終野はその場で立ちすくむしかできなかった…。
二人で杉村を支え、保健室に着いた結と安田は、座って作業をしていた保健室の先生へ事情を話した。
ぐったりしている杉村を見て、先生はすぐ奥のベッドへと寝かせた。それから杉村の容態を見ると、結達へ「しばらく安静にすれば良くなる」と話したのだ。
その後、終野に蹴られて赤くなった足へ、先生は湿布を張ってくれた。湿布がすぐに効いたのか、痛みは少し和らいでいった。
「ありがとうございます」
結が頭を下げると、先生は「どういたしまして」と返す。
「足が痛かったでしょう?ここまで運んで来てくれてありがとう」と言われ、結が「だ、大丈夫です」と答えた。
「霧島さんって、すごいね」
保健室から出た後、隣で歩いていた安田がそう話しかけてきた。
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