第54話 狙われたお嬢様 その54
「…ええっ!?」
満が、華に対してちょっとだけど嫌な気になっていた。
ちょっととはいえ、満が嫌な気分を持っていたと知り、華『信じられない!?』とショックを受けた。
「成宮は『友達と一緒に遊ぶのは楽しい』と思っているんだろ?それは俺も分かる。だけど霧島が一人で漫画を読んでいたりアニメを見ているからって、その楽しさを知るために俺と付き合え、っていうのは、かなり謎理論じゃないのか?」
満も、流と一緒に居るのは楽しいし、たわいもない話をしたり、二人でどこかへ出かけたりするのも楽しいと思っている。
だが、結にその楽しさを教えるために付き合え、というはさすがに『それは違う』と言いたくなった。たとえ、結が満へ心を開いているからって。
「だいたい、小学校の頃に霧島が嫌な思いをしたのは、成宮が勝手に喋ったからだろ!?成宮が、霧島がイジメを受ける原因を作ったんじゃないのか!?」
「…そ、それは…」
当時、結からも抗議されたことから、華は父親に頼んで結へのイジメを何とか止めさせた。しかし、イジメはなくなっても、結の心にはトラウマが残ってしまったのだ。
華の父親は有名なカウンセラーに相談させようとしたが、結は断った。
―もう他の人とは関わりたくない。
それほど、結の心は傷ついていた。
結の父親は、華の父親に「そっとしてほしい」と頼んでいた。華は、責任を感じて結を遊びに何度も誘ったが、結はすべて断ったのだ。
中学生の時は結が別の学校へ行ったので、親戚の集まりの時しか会わなかった。あえてしばらく距離をとったおかげか、華が同じ高校へ進学する時には、結も反対はしなかったのだ。
だが、周りと打ち解けないところは変わってなかった。それで華はお昼を一緒に食べさせることで同級生達と仲良くさせようとはしたが、結はやはり周りに警戒心を持っているのだ。
しかし、満と一緒に居る時、結はそんなに警戒してなかったことに気付いた。さらに、満は絶対悪口を言わない。
それで華は、結と満をくっつけようと思い立ったのだ。満と仲良くすれば結のトラウマは解消されるし、彼氏ができるから人生はもっと楽しくなる!
そう思いついたのは、事件が解決した後だった。結の凄さを直に見ているから、満も快く引き受けてくれる!
だが、満はその前に、華が言ったことに対して怒ったのだ。
肝心の相手の気持ちを考えていない、自分勝手な考えを押し付けてくる華の行為に。
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