第41話 狙われたお嬢様 その㊶
「私が自分から、下敷きを手放すように仕向けることです」
「…え!?」
驚きの顔になった満へ、結はさらに説明をする。
「それには怖い目に遭わせればいい。そう思った鳥山さんは私を怖がらせようと考えました。それが、昨日の小夜川大橋での事件なのです」
「なんだって!?」
昨日、偶然出くわしたあの不審者の事件に、満は驚きのあまり大声を出した。
「暗い夜道の橋の上で襲えば、怖くなって助けた後に回収できる、と思ったのでしょう。しかし、偶然日野沢さんが来てしまったので、下敷きの事を言うわけにはいかなかったのです」
満が来てしまったのは、鳥山にとって想定外だったのだ。二人きりならまだチャンスがあったが、最後まで満がいたため下敷きの事を言うわけにはいかなかった。
「それでも、その事件のおかげで華さんへ再就職の話を聞いてもらえましたが、もし下敷きの事ががばれてしまったらすべて水の泡になってしまいます。それで、今こうして聞いてきたのです」
まさか昨日の不審者の件がつながっていたとは、満にとって予想外だった。
「…で、でもその不審者が僕だという証拠はないだろう…?」
ようやく口を開いた鳥山の声は、明らかに動揺していた。
「…証拠なら、あります」
二冊の本と下敷きを落とさないように持ち替えると、結は制服のポケットからスマホを取り出す。右手で自分のスマホを操作した結は、鳥山と満へある動画を見せたのだ。
「…これは!?」
それを見た二人は驚愕した。
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