第12話 狙われたお嬢様 その⑫
放課後、華は玄関から、中庭へと歩いていた。
移動教室の掃除が終わって帰ろうとしたら、手紙が入っていたのだ。ラブレターかと思った華は、それをその場で読んだ後、すぐ中庭へと向かった。
もし交際を申し込まれたら、丁重に断ろうと考えていた。まだ特定の人と、恋愛関係で付き合う気はないから。
そんな華の後を離れた位置から着けている影があった。その影は複数で、それぞれ別々の動きをしていたのだ。
「なんで俺まで巻き込むんだ?」
中庭の入り口のすぐ近くの生垣に隠れていた満は、目の前でしゃがんで身を隠していた流へ小声で言った。
「もし相手が成宮さんに断られて逆ギレしたら危ないだろう!オレより反射神経がいいお前が居れば心強いし」
後ろに居る満の方へ振り向くことなく、流は華がいる向こう側を見張っていた。
中庭にはあちこちに生垣があり、数人が余裕で座れるベンチも何ヶ所に置かれている。華はそれに座らずに、校舎のすぐ近くで立っていた。
休み時間になると、生徒達の憩いの場として人気があるが、今は華と満達しか見かけなかった。
ちなみに満達が今いる生垣は、玄関側の出入り口から右側の方にある。真ん中の道を挟んで、左側にも同じく生垣があった。
「危ないっ!上っ!!」
「…あっ!?」
「華さん!そこから離れて!!」
突然の声と、流の叫び声と同時に向こう側から結の悲鳴が上がった!
校舎の窓から、何か落ちてきたのだ!
「成宮!下がれっ!!」
満もそう叫びながら、華を助けようと駆け出す!華は突然現れた結達に「…え?」と声を漏らした。
「―!!」
その場から動かなかった華の体は、すぐに結と満達の間を通り過ぎた人影によってその場から移動した。その人影は華をかばう様に華の体を抱きしめていたのだ。
「…!?」
華がその場から離れたと同時に、何か四角い物が華達が居る校舎の側から向こう側の芝生の上に音を立てて落ちた。それが華達に当たらなかったところを確信した三人は安堵したのだ。
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