第9話 狙われたお嬢様 その⑨

 それを知った華は、同級生達へのプレゼントを増やそうとした。そうすれば結への苛めは止まるだろう、と。

 だが、それを知った結の父親は、華に対して『間違った方法だ』と止めさせた。そんな事をしたらますます同級生達は、お金や物目当てで華にもたかるようになるからだ。

 いじめは結の両親が学校に相談した結果、すぐに止めさせる事ができた。それ以来、結は周りに対して警戒するようになったのだ。

 華に対してはまだ心は開いていたが、それでも結は周りを避けるようになり、休み時間一人で本をよく読むようになった。

 華はクラスになじめるように何度も結を遊びとかに誘ったが、それでも結は心が開けなかった。高校生になった今でも、また周りから華と比べられたうえ、逆恨みされて酷い目にあうのでは、と心のどこかで不安に思ってしまう時があるのだ。

「華さん、明日先生に話しましょう。もしかしたら盗難の可能性があるかもしれません」

 いくら浪費家の華でも、学校で一気に五万円を使い果たすとは考えられなかった。今日の昼休み一緒にお昼を食べた時、華が買ったのは自動販売機のお茶だけだったからだ。

「えー、でもまたパパに貰えば」

「もし盗難の可能性があったら、また盗まれてしう可能性があります!そのお金は華さんの両親が働いて手に入れた大事なお金なんです!親から貰った大事な物を、盗まれたままでいいんですか!?」

「ゆ、結…!?」

 いきなりすごい剣幕で叫んだ結の迫力に、華はたじろいでしまった。

「それにもし学校で他の人が、たまたま華さんの財布の近くに居たら、その人が盗んだと疑われてしまうんです!冤罪を防ぐためにも先生に相談すべきなんです!」

「わ、わかったわ…」

 滅多に激高しない結がここまで叫ぶのを聞いた華は、結の提案に賛成したのだった。

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