第4話 狙われたお嬢様 その④
「霧島さんは親戚だから、いつでもタダで美味しいお菓子が食べ放題なんて羨ましい事」
言葉とは裏腹な意味を持った嫌味は、結にも向けられた。ボブカットの女学生が、妬みを隠した目で華と結を見ていたのだ。
「いえ、根室さん。私は自分の分は必ず支払っています。昨日は試食だったので飲み物代だけでしたが、それはきちんと払っていますよ」
「そうなのよ。結はいつも『自分の分は、自分で払います』って言って、必ずお金を出すの。こっちは結の分くらい余裕で出せるのに」
「いいえ華さん、『親しき仲でも礼儀あり』です。親戚だからとはいえ、やたらと出してもらうわけにはいきませんから」
凛とした結の反論に根室はぐうの音も出なかった。華の後押しする証言に、同級生達は結の言葉を信じようとしたのだ。
「根室も懲りないよなあ。いつもああやって嫌味を言っては、霧島に反論されているのに」
悔しがっている根室を見ながら、流は呆れていた。根室はお嬢様で欲しい物が買いたい放題な華が羨ましいのか、入学式から数日後にこうして嫌味を言うようになってきたのだ。
そのたび、結が何度もかばうため、最近は結も嫌味を言われるようになってしまった。しかし結から反論されっぱなしなので、他の同級生達は根室を呆れた目で見ているのだ。
「そうだな」
そう答えたものの、欲しい物が手に入らなくて羨ましい気持ちは満にも理解できた。
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