第7話

 目覚めたその日は晴れだった。

 しかし、そんな陽気はよそ見をしたかのように、部屋は青く静かな空気が漂っている。

 まるで誰も居ないかように。

 

「おはよ」

 そう、彼女は言う。


「おはよ。なんだか雰囲気が変だね」

「そうだね。時間が時間だし」


 時計は、午前5時頃といって寝静まっている。

 

「あ、確かに」

「あはは。寝ぼけてるね」


””「恥ずかしい」””

「所で、今日は何をするんだっけ?」


「何がしたい?」

「海に行きたい」


「それいいね。行こうか」

「溺れない為にも、朝ごはん食べなきゃね」


「うん」


””料理作るから、この手、解くね。もう寄生は完了しているっぽいから””

””寄生?””


””私から、逃げられなくなる呪い? 縛り? なんだろうね。なんて表現すればいいか分からないや。”少なからず私から逃げられない”ようになっただけだよ””


””なんか怖い””

””無理もないよ。だって、気持ちすらも操作されるかもしれないからさ””


””でも、僕は良いと思うよ””

「ありがと。じゃあ、ごはん作ってくるね」


 溶けた手に、彼女の温もりを感じる。

 柔らかく包み込まれるそんな感覚は、その姿を消す気配は無い。

 いつも、手を握られている。そんな感覚。

 

””ねえ、彼氏君。”二人だけの端子”作る?「期待」””

””端子? それより、なんで接続しなくても会話が出来るの?「疑問」””

 

””繋がったから””

””よく分からないけど、分かった。端子も好きにして””


””ありがと「嬉しさ」””

””「照れ」””


””所で冷蔵庫の中好きに使わせてもらってもいい?””

””良いよ””


””コマンド「未来」を使用。対象は本器及び子機””


「「「端子の生成を開始します。ホスト「アメジスト」により、接続端子および子機型プロセッサを生成。完了しました。OSをインストールします。OS名「海」。このOSは独自規格のナノマシンハードウェアで動作します。インストール中。完了しました。最適化を開始。部分的なナノマシン存在域な為、メインプロセッサを上腕に移動及び生成。放熱性能を確認中。確認完了。放熱による実現可能なスペック算出。完了しました。設定を適用しています。完了しました。未来予測プロセッサを生成。起動。プロローグ終了を確認。第一章を開始。内容の予測に失敗しました。再度算出。失敗しました。エラー。本機器が存在しない可能性があります。エラー。ナノシステム「愛情」により阻害されている可能性があります。ナノシステム「愛情」の位置を算出中。エラー。この世に存在しない可能性があります。上記のエラーをホストに報告しています。なお本通知は全て、意識「亮」には通知されていません」」」



「「「未来予測プロセッサによる算出を報告。第一章の開幕を確認。内容の予測に失敗。ナノシステム「愛情」による阻害を確認。位置の特定に失敗しました。存在しない可能性があります。なお同様なエラーは「海」により確認されています」」」


””ミイのシステムから出ていけ””


「「「ナノシステム「緑」よりシステム「アメジスト」の構成を特定をしています。エラー「愛情」より阻害されました。本処理をナノシステム「海」に委託。完了しました。一部に上書きの痕跡があります。その部位の削除及び補填を開始。完了しました。システム「アメジスト」を起動。エラー。大部分の起動に失敗。成功。未来予測プロセッサドライバ。未来予測を開始」」」


「「「第一章。「水晶浜」。内容を解析中。下記、第一章の予想図を表示します」」」

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