第4話
落ちかけの夕焼けは、何も言わずに見守る。
「それにしてもさ、名も無き神様に感謝しなくちゃ」
「名も無き神様?」
「ううん。なんでもない。てか、なんで学校では相手にしてくれないの?」
「え? いや、なんか、僕なんかが釣り合わないし、何ならその事で半分イジメられてるから」
「ふーん。やる事全部終わって開き直らずその態度、なんか心外」
「ごめん、僕も一緒に居たいは居たいけど、なんか人前だと恥ずかしい」
「同じ生き物なのに?」
「同じ”人間”じゃなくて?」
「ごめん何でもない」
「謝る事ないよ」
「だとしたら私の母性は不良品だね。安心させるどころか不安にさせて」
「そんなことない。ほら今だって手を繋いでる」
「確かにね」
「あ? 亮が水奈と手を繋いでる」
そんな声が背後から聞こえる。
場所として公園の脇道。恐らく、そこで屯していたのだろう。すっかり夕日は落ち、その逆光で顔はよく見えない。
「水奈ちゃんさ、そんなごみ虫、捨てて俺と付き合ったら?」
イケイケ系の生徒の中核か。
僕は、そっと手を引いて足を急がせようとする。しかし。
「なんですか? その言いぐさは?」
握った手の少女は、怒りを覚えている。
「でも、その男の何が良いのさ?」
「私を好いてくれる所です!」
「はぁ? それだけ? なら俺だってできるぜ?」
「違います。貴方たちのような、心理状態の事を指す意味ではありません」
「そうか。そうか。だってよ、りょーくん? お前ごときが良いんだってさ。そんな事言われて恥ずかしかったら、その手離したらどうだ?」
そう近づいてくる。
「ナノシステム「
そう彼女が言った言葉は、聞き取れなかった。
同時に、握っている右手に鈍い痛み。
何か液体に包み込まれる感覚と、彼女の涼しげな温もりを感じる。
その脈は強く、自身の中に入ってくる。
「溶けてる?」
手が、骨格が、同じになって温かい。
彼女が感じているモノ見る物全てが分かる。
君は誰なんだ?
それは、離そうとしても、離れない手。
「離さないなら、無理やりにでも離させてやる」
「鎮静剤および、棘を実行」
触れる事のできる距離に来た、輩に彼女は触れる。その腕には、なにか棘のようなものがビッシリ生え揃っており何か液体が垂れている。
皮膚に棘が刺さった輩は、膝から崩れ落ちる。
その体を痙攣させて、泡を噴いている。
「じゃぁ、怖い人は倒れちゃったし、家に行こうか。手もしばらくこのままでも良い?」
「良いよ」
「何なら、感覚まで共由させちゃう? なんちゃって」
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