第2話 皿・ラ・ライス
ステーキ店などに行くと、ステーキに「パンかライス」を添えることができると言われるので、やはり肉といえば飯だろう、ということで、おれはだいたい「じゃあライスをお願いします」となることが多い。
で、そうなると、ライスが「皿」に盛られた、いわゆる「皿ライス」で出てくるのだが、これに難儀する。
皿でライスを食べたことはあるだろうか。まあ、カレーライスなどのユースケースを踏まえてもよいのであれば「ある」という人は割と多いのではないかと思う。
改めて思い出して欲しいのだが、果たして皿にライスをよそい食べると、一体全体なんの化学反応が起こるのかわからないが、とにかくおびただしい量の米つぶが皿にひっつく。
だいたいご飯茶碗にしたって普通にひっつくのに、表面積が大きいうえに乾いている皿にライスを載せているので、くっつかないわけがないのだ。だが、こちらにある武器は箸ではなくフォークとスプーンの洋食器コンビ。どちらにしてももれなく皿を引っ掻き回してしまい、やさぐれた米つぶを掬おうとするたびにキィ~キキ~と嫌な音が出がちである。
カレーライスですらそうなりやすい程度には高頻度だというのに、ステーキ店のライスのそれときたら、もはや「わざとキィ~キキ~と難儀しながらライスを食せ」と言わんばかりの所業である。
ピラフやチャーハンなど、油でコーティングされたライスはまだいいのだが、単なる炊飯でもって盛られたライスと「皿」の相性はすこぶる悪い。しかしながらステーキ店では皿にライスが盛られてくる。なぜだ!
これをスマートに解決する方法のひとつとして「ステーキ肉の油やソースをライスに融通し、その油分で以って掬う」というパターンもあるが、これは残念ながら「ご飯を汚しやすい」。焼肉よろしくご飯がタレとか油とかでゴチャゴチャとなっても別に構わねぇよ、という人はそれでもよいが、なんとなく皿に盛られているので、あまり汚さずきれいに食べたいと思うのがまぁ心情であろう。ステーキ丼よろしく「最初から肉・オン・ザ・ライス」のようになっていればまだ心配はないが、フォーマルになればなるほど、そういった代替手段は取りづらくなる。
おれの知る限り、ステーキ宮・いきなりステーキ・ふらんす亭など、おおよそほとんどのステーキチェーンが「皿でライスを出す」傾向にあると思っている。洗い物をするときに楽だとか、盛るときに盛りやすいとか、なにかしら合理的な理由はあるのかもしれないが、食べる人サイドからしてみるとなかなかに困難が多いことは、上記のような理由から明白であろう。皿だと地味にテーブルの上の専有面積が広くなってしまうというのもいただけない。
ちなみにハンバーグチェーンの「びっくりドンキー」は、この問題を解消すべく(かどうかは全く確かでないが、おれはそう思っている)「木製の皿にハンバーグとライスが垣根なく盛られてくる」という方法を取っており、これだけでおれはびっくりドンキーの合理性を愛してやまない。いくらスプーンを使っても音が出ないし、ライスも最後まできっちり掬って食える。
なのでステーキチェーン諸氏にあっては、ぜひ木製皿の導入を検討していただけないものだろうか。できればもう、ステーキなども一緒くたに皿に入っていればなおうれしい。胃に入ればどうせみんな一緒だろうし(暴論)。
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