セーラの教え子

吊しベーコン豚ロールな俺は、セーラの後をついて歩く。ユグドラシルの根から大分離れた距離、徒歩一時間ぐらいの場所だ。



「しっかしまぁどこまで行くんだ?」

「あの戦いの荒れ果てた地、そこに私は人々に知恵を与える場がある」

「荒れ果てた地ねぇ、特に変わりがない」

「表はそうだよ、裏側は違う」

「ほぅ? それは見物だな」



辺りの木々は次第に枯かれ、道は平け始める。その視界の先は、ユグドラシルの半分が黒く焼けた痕に大地は黒く変色。

他校生達は、揃いも揃って絶句する程だ。




戦いの傷跡って実際に目にしない限り伝わらないもんがあるけど―――魔王の強さがよく分かるな。



十年前、父が殺された存在は魔王になった元仲間リーダー

あの戦いで奴は死んだとは限らない、やつが動き出すのも時間の問題だろう。

ただ、今は―――その戦いが来るまでに父の技を扱えなきゃ話にならないだろう。




神殺しと神喰い、双方を持つ力だとしてもそれはこの世界の魔力には到底抗えないだろう。あと一つ、それが手にあれば違うのかもしれない。



「さてと、皆よこちらを向くのだ」



他校生は俺達の方に目線を向けた、セーラは淡々とした口で話す。



「英雄として、この戦いに答えを出せないままこのような傷を与えた。仲間一人救えなかった、その結末と結果を君達にはどんな答えを導く事が出来る? その問いを答えてもらおうかな」



静まる他校生達に一人手を挙げた、ルナと同じ制服で中学生の少女だ。



「はい」

「よろしい、ならば答えを聞かせて」

「この様な悲惨な目に遭う前に、一人一人悩みを聞いてれば違ってたはずです」

「それは正解とも言えるし不正解とも言える回答ね」

「え?」

「人の心理は分からない、突然何かで勃発的に起きるもんよ。例え相談したとしても、悲惨な事から免れないわ」



次に手を挙げたのは男子高校生。



「次は君ね?」

「はい、答える前に一つ訊ねたいです」

「何かしら?」

「その人が何故禁じらた魔剣を手にしてたんですか? 誰かが保管してたならそりゃそうなりますけど」



確かに俺も疑問であった、なんで魔剣を手にしていたのか。そもそも、勇者が持つべきじゃない気がするのに――――。




「鋭い問ね、そうね。その禁じられた魔剣は喋るらしいのよ」



その疑問に対してセーラはまさかの冗談ぽい返しに一同口を開きポカンっとする。



「へ?」

「喋るから魔剣、禁じられるから魔剣。なんつってね」

「ちょっと何言ってるか分からない」

「何が分からないのよ? そのまんまよ意味」

「げ、現実から随分と離れてますね」

「いい、君達はまだ知らないけど中には喋る魔剣とか居るんだからね。特に便器カリバーとかなんで魔剣になったのか? みたいなのがあるから」

「世界は広すぎた」

「ユグドラシルの上層部なんてこんなもんじゃないわよ。変な魔物しかいないから」



セーラはぐらかしたのだろう、せいっぱいの回避。そりゃ、手にした人は別人に変わる様な剣だからな。



「正解なんてないのよ、誰が本当で嘘なんて見抜けない。その人が堕ちたら救いが出来るか出来ないか――――」



考えさせられる言葉だ、、正解なんてあるわけない。結局は個々の執念だったり、正義感だったりするわけだ。

セーラは、杖をどっからともなく手に取ると見た目が魔女見たく姿を変えた。



「答える権利は自分自身にある。何かを答えや委ねるのは他人がやるべきじゃない。その手にある引くか引かないか。それだけよ」



セーラがそう言い放ち、杖を地に突くと食べ物置かれたテーブルが現れた。



「さて昼時だし、皆よ食べて交流するんだね」



セーラはそう言ってから森の方へと歩いていった。さて、他校生と会話するか。

しばらくしてワイワイと会話する女子達、やはり環境面にしたらこうゆうのは女子は早いな。



「あ、あの!」

「ん?」



後ろを振り向くと、青い短髪の少女が一人。

見るからに、スポーツ系を感じさせる。



「君は、両手剣で戦ってるあの噂の少年だよね!?」



噂ってどっから聞いた噂なのだろうか? いや、それよりも目をキラキラさせてるな。

手にグローブ嵌めてるし、ひょっとしてこの子も両手剣使いか――――?



腕を静かに組んで俺はゆっくりとした口で言う。



「なんの噂かによるけど、多分そうだよ。俺の勘的にかん君は両手剣使いだろ?」



少女は少しばかり驚いた、そして頬を軽くかきながら口にする。



「あはは。バレましたか。そうだよ、僕は両手剣使いだよ? 女の子としては少し怪力に自信あるからね―――。そうだ、手合わせできませんか? 時間あればですが」



俺は会話してるバレットをチラっと見る、こちらの視線に気づいて軽く頷いた。



なるほど行けってか、悪いなバレット。















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