色々無かった事にしたい。そして間男の誘い…間男煽りが始まる…

 波乱の年末年始から一ヶ月近く経った…その間、アイカとネトはお互いの家で盛り、学校でも盛った。学校とアイカの部屋の盛りを俺は盗撮し続けた…


 ちなみに俺はデジタルに詳しいヒロと言われているので、良くアイカやネトのパソコンの設定、スマホ選びや、安いコース選びにと相談に乗っていた。設定等も俺が全部やっていたので、万が一の時に俺のクラウドに随時データをバックアップするようにに設定していた。

 絶対やってはいけない事だし、俺は2人に確認を取ったが、よく分かってなかったようだからまぁ勘弁してほしい。当時は善意だったんだけどなぁ…

 そもそもどんな理由があれアイツラがNTRファ○クしたんだから容赦はないが…


 しかしこのデータ収集と盗撮、実はあんまり意味がなかった。特にアイカは情報量が少ない、多分スマホを2つ持っているのではないかと疑っている。  

 友人との軽い会話しかチャットアプリにはなく、ネトとはもっぱら電話だ。


 だから…最近は悲しみ、憎みながら行為を盗撮しているだけだ。まぁ憎しみだけは貯まるのでそれで良しとしていた。


 アイカは年末以降、遊んでいないので何を考えているのか分からない…登校は一緒にしているのだが、アイカは何だか思い詰めた顔をしていて、ギクシャクしている、会話があまりないのだ。

 この状況、以前ならキスをしたから距離が縮まってギクシャクしていると取れるだろう、しかし俺はアイカ側に何か異変が起きたと見ている…これは幼馴染という長い期間一緒にいたゆえの感だ。

 だからアイカの今の本当を知りたい。

 一時期アイカの部屋に遊びに行った時に盗聴器をしかけようと思ったが、遊びに行けないので踏み込む事が出来ない…

 う~ん、とりあえず紙に書き出し、考える。

 タツに呼び出されて近所の道場でどうしたものかと悩んでいると…



「ヒロ?スマホ2個持って何に使うんだ?違法サイトと普通サイト用か?あれ怖いからなぁ…オレ、パソコンの先生ヒロがいて本当に良かったよ」



 俺の太ももの上であぐらをかいて、ベビードーナツを食い散らかしながら話かけてくる距離感の近い馬鹿、彼女はタツ…以前、豚の貯金箱を破壊して、過呼吸気味で7000円持って「ビロォーっ!ダジゲデっ!499万3000円ガジデッ!今すぐ必要になった!」と、家にやってきた違法サイトのここをクリックする対魔忍だ。


「突然500万とか言われたからびっくりした」


 そもそもタツのスマホ代を俺が負担してる時点でおかしいが、コイツは悪い事しかしない。

 「悪い事しないからスマホくれ」って言ったくせに吸い込まれる様に見てはいけないサイトを見る。子供や老人用のスマホなので、ある程度フィルターがかかっているから安心と思ったが、片っ端から試すのでどっかで行けてしまう…ある意味恐ろしい才能だ…


 後、口に出すのも憚られるタツとの年末の件以降、家や学校でアイカと過ごす時間が減ったせいか、その隙間を埋める様にいつもタツが横にいる。

 それとタツの距離感がやたら近い、気持ち的なものは置いといたとしても、物理的に近い。

 タツの方がデカいんだから俺の上に乗る姿はまるでサーカス、熊の自転車だ。今もドーナツのカスが俺のざまぁ計画ノートや膝にポロポロ落ちて来ている。


「そんな事より聞いてくれ、ヒロよ」


 『そんな事より』から始まるタツの話でろくな話が無い。


「タツじゃない忍者が、この間の激しいプレイ♥でズタズタになった旧くの一スーツの代わりに先輩から新しいスーツが支給され、しかも不知火という組織の一員になったらしい。もしかしたら、それはもうタツじゃない対魔忍とは違う、タツじゃない対魔忍なのかも知れないな…」


 タツじゃない何かは話は別にどうでもいいし、何か変な名前のグループ一員になっとる…。

 俺はこの…時折出てくる『先輩』を知っている。

 タツに真剣勝負で勝った数少ない女性で、勝つ為に手段を選ばない姿勢は尊敬している…が、苦手だ。


 先輩がタツに勝った時も酷かった。俺もその時は立会人の1人だったのでよく知っている。

 本気の打ち合いの最中に殴る振りしてウンコを投げつけ、視覚嗅覚を無くした所で、道着を頭から包むように被せると同時に、帯で首を締めて、タツを脱着不可ウンコ道着マスクマンに仕上げた。

 タツは俺に助けを呼んでいたらしいが、分かる訳無いし、完全に視界と嗅覚を失ったタツだが、それでも防御に専念すると、立会人の内の1人だった俺のところに先輩が向かってきた。

 いきなり腹を殴られ動けなくなった俺の襟首を掴み、ウンコマスクをしたタツに投げつけた。

 メンタル弱者のタツは無論パニックになり俺に抱きつく。

 さらに先輩はタツの道着の下を脱がし丸出しにし、オレの顔をタツの股に帯で固定し、「ヒロが下のお口をちゅーしてるぞ、オイ♥」と言いながらタツの顔面を殴りまくってたらしい。

 タツは気付いたら気絶していた。酷い話だ…。


 それからタツは「手段を選ばないあたりがヒロに似ている」と言う理由で、「先輩!〜っす」と少しキャラ変しながら、懐いている。同じにしないでほしい…。

 そしてタツに余計な事を吹き込んでいるのも、その先輩だ。


 ふと、タツを見ると顔を真っ赤にしながら

「鳥の親は、子供に口の中の食べ物を食べさせるらしいぞ…はいどーぞ」

 目見麗しい女子高生が…パカァッと俺の顔の前で口の中のニチャァっとしたベビードーナツを口移しでくわそうとしてきた…気が狂っとる、鳥じゃねーし。

 とりあえず床に転がす、今日の格好は小学校の時のTシャツに短パン、つまり高校生のタツが着るとヘソ出しピチTにホットパンツというアメリカンな格好だ…真冬なのに…


「タツ…この間の…責任を…とれって言うのか?俺はタツが望んでいる事…やってしまうゼ?」


 床ドンしながら真顔で、我ながら謎の口調で訳の分からない事を言う。

 タツは子供の時から、バリバリの偏った少女漫画ばかり見ていたせいか、メンタルが弱いからか知らないが、男性に強気に迫られるのに弱いらしい。

 だから自分から積極的になるんだと…(相手によるからと本人談)

 現に今も両手を胸に置き、もじもじしながらこちらを見ている。目がハートだ。


「な、なぁヒロ…この間の責任…と、取れるもんなら…取ってみろよ…♥」


 素早く近く置いてあった道着の帯でタツの目を塞ぐ。これで安心だ。


「タツ、お前の想像通りのこと…してやるよ…」


 最近タツの扱いになれてきた。タツレールは一度に走り始めてしまえば後は勝手に一人で走っていく。


 タツの胸に置いてる手が自分の胸を揉みしだいている。そして「ヒ、ヒロ!?脱がす…のか?♥」と言いながら自分でホットパンツを脱ぎ始めた。

 何故ノーパン?

 俺はスマホが鳴ったのでタツを置いてスマホに向かった。


「む、ヒロが消えた!?♥ヱッチな鬼ごっこか?♥」


 メールを見るとネトからのメールが…



『ヒロ、明日の夜、昔遊んだ廃病院で面白いもの見せてやるよ。その後、話がある』



 と、メールが来た…。え?このタツとのやり取り見られてる?と、タイミングもタイミングなのでキョロキョロするが誰もいない。


 ネト…いや、間男から…メールが来た…!煽りキタ!何故か…驚きと同時に少し嬉しくなった。やっと始まるのか!!と。

 思えば長い道のりだった………俺の目の前で道場の入り口に向かって、真冬に下半身裸ピチTで目隠しのタツが「ヒロ!♥待てぇ♥」と言いながら、そのまま信号無視対魔忍となった。

 道場の外への入り口という赤信号が見えず、そのまま外に出ていった。アイツは何をやってるんだろう…

 違う、あの馬鹿タツのおかげで救われはしたが、同時にアイカとネトと同じ事をしてるだけじゃね?とか、いまいち怒りや悲しみが乗り切らず不完全燃焼していた。

 ネトに「お前が何か言う筋合いなくね?ケツの穴とかお前のほうが酷くね?」と正論を言われたら反論出来ない。

 だからネト…間男らしく「お前が不甲斐ないからだ」的に煽ってほしい!俺が惨めすぎて辛い、死にたくなってくる様な煽りをしてほしい。何だったらアイカの胸揉みながら煽って来てもいい。

 ノートに『明日の夜、間男の煽りあり』と書いた。


 明日の夜が楽しみだ…違う、辛いぜ…


「クソ!何で外にいるんだ♥子供に笑われた!コケシに誑かされたな、これは!」


 5分後、馬鹿が三角コーンで股を隠しながら帰って来た。






 そして翌日夜、動きやすいジャージに着替えて家を出た。タツには言ってない。邪魔だからだ。特に今日はネトと直接対決になる可能性が高い。

 その際に、最悪タツはNTRを知る隠し玉としてとっておきたい。まぁ1番の理由は邪魔だからだ。

 覚悟を決め玄関を出た所で後ろ、開けた玄関の横から声がした…


「何処へ行くつもりだ…オレとヒロは一蓮托生だろう?」


 何でタツの声が…いや、最近ストーカー紛いの行動が目立っていた。ここにいるのも十分可能性がある。


「聞いているのか?ヒロ…オレを見ろ」


 タツを何とか諦めさせたい…俺は後ろを振り返った。


 そこには前より酷く対魔忍に寄ってしまった…ぴったりした全身タイツのスーツを着た女がいた。亀甲縛り型に生地と一体化した銀のエナメル素材のラインが入っている、荒縄と腰帯が無くなっていて、代わりに大きめのベルトのようなものがある。

 『不知火』と装飾の施されたサイハイブーツとグローブ。

 マフラーはマントの様になり、鼻と口を覆う白いマスク、サングラスのようなバイザーと鉢金を付けている。

 それと所々、特に股周りが目の細かい網タイツになっている、光沢のある薄手の全身タイツ…生地が薄すぎないか?それに色が真っ白である…


 白は…不味くないか?…忍び的にも…胃腸が弱いやつ的にも…子供の服に白は駄目だろう…


「息を飲んだな?そうだろう。タツじゃない対魔忍は引退した…これからは不知火所属、タツじゃない対魔忍がヒロを守護する。安心しろ。これから…」


 同じ奴だろ、それ。あと、タツだろ。色々言いたい事はあるが一つ言いたい。下の毛が生地の隙間から大量に飛び出している。伸びかけのボーズ頭みたいに…股部分が裸にしか見えない。

 俺は…ボーズ頭をショリショリしたいタイプだ。

 気付いたら生えかけのマ○毛をショリショリしていた。


「ヒ、ヒロ!?♥このスーツに魅力を!?♥まだ、自己紹介が終わってなひっ♥ダ!ダイレクトアタックよへ!♥アッ!♥ビロッ♥イエの!ゲンカンデェッ!♥アヒィッ声をっ♥コケシッをッ♥」


 気付くとうちの玄関に張り付くように仰け反っている残マ○ゲ忍。

 既に汗びっしょりで息は絶え絶えだ。弱い…

 張り付く様に膝上まである装飾の施されたサイハイブーツの足が震え、つま先で立ちになっている。

 同じく装飾のあるグローブを見ると、左手はマスクへ、顎下に猿轡が仕込んであるらしく、口に轡を咥え込んだ。

 空いている右手で腰ベルトに付いているコケシペンケースを手に取り、おもむろにそのままケツ突っ込んだ…いや、何でだよ…


「ムグッ♥フゴッ♥グ♥ッッ♥ッ♥」


 先輩、確か金持ちだからなぁ…安いコスプレではなく多少金かけて作ってるっぽいなーと思ったら、バイザー越しに見える目が白目になり痙攣しながら崩れ落ちた。


 何しに来たんだコイツは…と思ったが今がチャンスだ。さらばだ…よくわからん組織所属の登場コマで死亡モブ忍…


「ま…へ…自分らけ…犠牲なんて…ゆる…ひゃんひょ♥わらひも…イグ♥」


 俺のジャージのズボンを掴んで来て、それを支点に立ち上がる。腰からしたがヨロつき過ぎているし、汗で透過していてタイツ部分はほぼ半裸だ。何て…スケルトンくの一…


 こんな状態で付いてこられてもなぁ…それにタツ幽霊とか虫とか凄いダメだからなぁ…言ったら諦めるかな…?


「これからいつものNTRトレーニングだが…その後ネトが話かあるらしい…だからお前は来るな…」


「いやら!♥オリェもイグ!♥シャンニンでぇ!エッチィしゃしぇない!♥」


「全然違う…そんな事しない。逆に俺はネトに煽られに行く予定だ…場所はほら、一昔前、心霊スポットで有名になった廃病院だ…うぁぁ!?」


プシャァァァァァァァァァァァァブルブルブル


 タツは盛大に漏らした…そこはうちの玄関先ですが…


「にゃんでしょんなところでぇ!…ビロォ!だめだ!わにゃだ!ネトは病院に立たせておけばいい!きょうはやめよう!いえにかえりょ!?幽霊とか関係なく不安になっちゃったからいっしょにねよう!なぁびろぉ!」


 うぉぉ、小便まみれでしがみついてきた…

 タツは子鹿の様に震えながら凄い力で必死に懇願する。今回はやめておこう…と。これは罠だ…と。

 罠以外何があるというのかと思ったが…


「幽霊とか、虫が怖いんだろう?だったら家で待ってろって…」


「は、は、はぁ?オレ!こ、ここ、怖くねぇし!?な、何か、か、かか、か、勘違いしてない!?」

 

 俺は…果たして間男の煽りを…そもそもネトに会えるのだろうか…

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