こうしてNTR耐久狂は生まれた

1話 幸せな日々を盛り上げる、ココが肝要ですよ

 いつからこんな事になったのか。

 今はもう随分前に感じる…





「好きだ、ずっと好きだった、今も好きなんだ!付き合ってくれ!!!」


 中学の卒業式の日にあふれ出た恋愛感情、この気持ちを幼馴染にぶつけた!


 俺は根多 博之(ねたひろゆき)、友人たちからはヒロって呼ばれている。

 この気持ちをぶつけた相手は、幼馴染の葛 愛華(かずら あいか)。


 アイカはもし幼馴染でもなければ、俺ごときが話す事も許されない高嶺の花だ。

 学校にいればトップクラスの可愛さで、すれ違う皆が振り向く愛嬌のあるアイドル顔だ。


 小学校では「ヒロ君!ちゃんとして!」なんてよく怒る学級委員長タイプの女の子で、よくお節介をやかれていた。家が隣で家族ぐるみの付き合いだったので家に帰ってもあれやこれやうるさかった。

お洒落に気を使うようになった中学では喋りかけるのが憚られる程、人気者だった。

 だから無理だとは思ったが…愛華の返事は…


「私もずっと…子供の時から好きだった…嬉しい!よろしくね♥」


 え?マジで?正直成功するとは思っていなかった。

 何故なら幼馴染は3人いて、その内の一人に愛華と同様、頭もよくスポーツも出来るイケメンな、ネトと呼んでる真田 音取(さなだ ねとり)がいたからだ。

 アイカはいつかはネトと付き合うと思っていた。

 ネトも「アイカは昔からヒロが好きだったんだよ、二人とも良かったな!」と祝福された。


 ネトともう一人の幼馴染、男みたいな名前だが、女であるタツと呼んでる藤原 龍虎(ふじわら たつこ)は反抗期が拗れてヤンキーになっていたが、一応「おめでと…」と祝福され、バラ色の高校生活が始まったと思った。

 そして、幼馴染4人が同じ高校に入学出来た!ますます学校が楽しみになった。


 春、俺とアイカは高校入学式から一緒に登校し、クラスは違っていたが、毎日アイカの作ってくれる弁当を一緒に食べた。毎日一緒に帰り、お花見デートや映画を見に行った。テストでは俺の家で「ヒロは馬鹿だなぁ」なんて言われながら勉強した。

 ウチの母親から「ヒロをよろしくね」なんて言われ「はい!お義母さん!お任せ下さいッ!」なんて敬礼してたっけな(笑)


 夏、一緒に海に行った。俺は身長は低いがそれなりに運動は出来る。隣の古武術道場で鍛えているからな!もちろん他の幼馴染は連れてきていない、二人きりだ。

 「付き合ってから気付いたけどヒロってカッコいい身体してるね♥」なんて言われて舞い上がった。

 夏祭りにも行った、去年はタツが欠けていたが今年は4人で回った。

 途中、花火が始まるタイミングで2人になった時に手を繋いだ、アイカの手はとても温かかった。


 秋、アイカの部活の吹奏楽部の大会を見に行った。目立たないように応援した。とっても喜んでくれたけど、恥ずかしいから部活の応援までは来なくて良いよと言われた。ちょっとショック…でも愛華の言う通りにしよう。

 それと愛華の誕生日だった。欲しがっていたブランドの星形ペンダントをプレゼントした!とても喜んでくれて良かった。


 冬、25日は二人でクリスマスデート!24日は愛華が好きなアーティストのライブに行くというので、25日にはイルミネーションー見てちょっと高めのディナーが食べれるお店を予約した。プレゼントに気にしていたリュックをプレゼントした。その日でお小遣いが全部吹っ飛んだけど喜んでくれて良かった!バイトしなきゃなぁ。

 大晦日は幼馴染4人で除夜の鐘を打ちに行った。

 帰りに「今年もよろしく」と言って、勇気を出してチューをした。恥ずかしかったけど距離が縮まった気がした。


 高校2年の春。

 相変わらずクラスが別だった。

 アイカから友達の付き合いもあるし、お昼は別々に食べようと提案された。仕方ないよね、アイカは人気者だから。朝も『部活があるので先に行くね、早く行かせるのも悪いし』と先に行ってしまう。一度、部屋の窓から、同じく朝練のあるサッカー部に入っているネトと一緒に学校に行っているのを見た。いいなぁ、俺も部活入ろうかなぁ。

友達と遊ぶのが忙しいのか、だんだんデートに誘っても断られるようになってきた。


 そして2度目の夏。

 6月頃、何だかあからさまに距離を感じるようになった。もちろんメールでは「好きだよ」と返ってくるが、遊ぼうとしてもなかなか都合が合わない。  


 最初から釣り合わない事は分かっていたので、自分から「ごめんね、やっぱり俺たち釣り合わないと思う、別れたほうがいいかな?」と自分から別れ話を切り出した

 すると、泣きながら「ごめんね、私が最近他の事にかまけてて!心配かけてごめん!別れないで!お願い!」と返ってきたので、俺も泣いてしまい、別れ話が有耶無耶になった。

 先日の別れ話の以降、少し付き合いたての感じが戻ってきた。食べなくなった2人のランチは週に1〜2回ぐらいは食べるようになった。

 そういえば最初はお弁当作ってくれたりしてたなぁ…




 まるで普通に付き合って、まもなく終わりがくるカップルに見えるだろう?





 だが俺は見てしまった、知っていたんだ…

 高校1年の時の12月24日…。


 俺はアイカに「ゴメンね!追っかけてるアイドルのクリスマスライブがあるから会えない、明日は絶対デートしよう」と言われた。

 イブに暇を持て余したが、通っている古武術道場のパーティに誘われたので隣町に行ってくるとアイカにメールした。

「浮気はだめだからね♥」なんてメールが来てたなぁそーいや。おじさんばかりだから平気なんて返してた。


 夜になって、もう一人の幼馴染で道場の跡取り娘のタツが、約束の時間になってもパーティー(居酒屋)に来ないというから、家まで迎えに行った。


 タツの家に向かうのに、ちょうどクリスマスライブに行っている筈のアイカの家の前を通った。

 なにやらアイカの部屋で何か動いているのが見え、小さく音楽がなっていた。何か嫌な予感がした…


 アイカの他の家族は親戚の家に行くと言っていたし、何だろうと玄関まで行くと、首から下がテカテカした全身タイツに腰帯だけつけたスタイルの良い頭のおかしそうな女が、鋭い目つきで立っていた。

 手甲にショートブーツ、口元は目より下を覆うような仮面と長いマフラー、全身に荒縄みたいな紐が亀甲縛りのように巻かれて腰帯の後ろの所で大きく蝶々結びのようになっている。


 奇抜な格好でポニーテールにしているが、何度も組手してるからすぐ分かった、こいつはタツだ。

 おっさん達が集まるクリスマスパーティーでの仮装か?


 タツは昔から奇行が目立つ奴だから、今の放っておいて後で回収しようと思い、無視して中に入ろうとした所で留められた。


「ちょっ!?ヒロ!中は危ない!ヒロは、は、は、入るな!さ、下がれ!」


「何、アヘ顔馬鹿みたいな格好してんだよ、今流行りの対魔忍気取りか?良いから早くパーティー行けよ!お前待ちになってるぞ。俺ちょっとアイカいるかどうか…」


「対魔忍!?とにかくヒロは…いまは…入ったら駄目だ…あの、その…凄いのが…いる…」


「はぁ?なんか触手の妖怪でもいて、お前がこれから倒すとでも言うのか?ん?それともアヘ顔になるっていうのか?どうなんだ?んん?」


 俺は知っている。こいつの奇行の理由は大体しょうもない。ヤクザの事務所にタツと一緒の男が連れて行かれた時も、親に反発したかったとか、悔しかったとか訳の分からん理由だった。

 タツは流されやすく、メンタルがまぁとにかく弱い。

 170ちょっとある身長にちょい吊り目、鍛えているからスタイルは良いし、見た目怖いが見方によっては綺麗系の美人だ。武術の才能はピカ一、俺は一度も組手で勝ったことがない。

 なのにメンタルがクソ雑魚のコミュ障。

 心技体の心が欠落した完璧に擬態した女、それがタツだ。


「違う!あ、あへ顔ってなに?…まって…ホントにまずいって…ちょ…」


 玄関が空いているので無視して家の中に入っていく、泥棒の可能性もあるので忍び足で二階のアイカの部屋の前に行く。

 途中、部屋の中から激しい吐息とクチュクチュという水音がする。ハァハァという音と布が擦れる音…大好きな声で「ネ…ト…」という声が…

 自分の中でまさか…という気持ちと、アイカに限ってそんな事…という気持ちが交差する。

 聞こえてくる声…俺の心臓がまるで荒縄で縛られるような感覚、冷や汗が出てきた…ヒッ!?


 ガッ!ギュ~ルルル〜キュ〜

「ハッハッハフゥッヤッヤバい…もう…ダメ…」


 先程の雑魚メンタルアヘ顔忍者のタツがいきなり手をつかんで来たので、心臓が止まりかけた。

 自らの胴体を荒縄みたいな縄で縛っているタツは、汗びっしょりでお腹を抑えて苦しそうにしながら、いやいやとかぶりを振る。

 狭い階段に並んで密着する俺とクソ忍者。

 何なんだお前は…俺はクソ我慢対魔忍に小さな声で強く言う。


「頼む、本当に大事な所なんだ…ウンコしたいなら一人で行け」







※次回へ、続く。準備出来てないままフォロワーが増えていきギョッとしました。いきなりクソの話ですがこちらも頑張ります






 

 

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