第2話
ここで物語を進行させるために、"この人物"と「N」と呼ぶことにする。
彼は、私が高校の時に同級生だった時に知り合った。私は、元々その学校の附属中学校に通っており、そのままエスカレーター式で進学していた。ただ、その学校は外部受験も行っており、クラスの何割かは、その外部試験を合格した者たちだった。彼は、その外部の人間だった。
私は外部の生徒と仲良くなりたいと思いつつ、エスカレーター式で一緒に進学した友人とつるむことが楽しく、最初は全く話さなかった。その結果、新学期ムードが消えても外部から来た生徒との距離は縮まらず、なんとなく気まずさを感じ始めるようになった。
だから、「N」と初めて話したのは、同じクラスメイトとしては随分遅い、高校1年の6月・・・・文化祭の準備の時だったかもしれない。
文化祭の実行委員で慌てていた時のことだ。その時私は、ちょうど仕事が溜まり体調不良になっていた。その日は特に疲労もあり、放課後、教室の隅で仮眠をしていた。そのうち、そのまま仮眠を取ってしまおうか・・・・と考えがよぎり、ゆっくり瞼を閉じようとした・・・・その時、ふと誰かが、私の側に来たような空気を感じ取り、眠気が少し吹き飛んだ。
「大丈夫?」
私は、その聞いたことがない声に疑問を抱き、声の主を見た。それは、「N」だった。
「あ、あぁ。ちょっと疲労でな。」
「これ、あげるよ。」
私の疲れ切った声を聴き、「N」は、自分の右手に持っていた炭酸ジュースを渡してきた。「さっき、自販機で買ってきた。遠慮はしなくていいからさ。」
「ほんとか。」
「ほんとだよ、別にお金も取らないから。」
私は、そのまま「N」に言われるがまま炭酸ジュースを受け取った。「N」は、「じゃあ」と言い、すぐに自分のカバンを持って教室をあとにした。
それが、私と「N」の初めての会話だった。
これを機に、私は「N」と話すことが多くなった。最初は、ジュースの奢らせ合いから始まり、徐々にプライベートで話すことも多くなった。あまり新しい人脈を作ることをしなかった私には、彼との生活がとても新鮮に感じた。
そこから、私と「N」は、急激に仲良くなっていく。
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