第3話

暗くなり空を見上げると、一面の天の川が俺を包み込んでいるみたいに思えた。

彦星は上手く織姫と出会えただろうか?

果てしなく広がる天の川の流れの中で二人がじゃれあってるのを想像してしまった。


俺は奈々さんの天然でほんわかしたところが好きだ。

そんな奈々さんに果たして夢の中で出会えるだろうか?

俺は縁結びの御守りを握りしめて、もう一度奈々さんに会えることを願った。


いつもよりだいぶ早い時間だが・・・

枕元に縁結びの御守りを置いて夢見ることを夢見て眠りに就いた。



俺は気が付くとどこかの海岸に居た。

ぼんやり波の音を聞いてると目の前をウミガメが通り過ぎる。

そのウミガメは俺の目の前でハンカチを落とした。

俺はウミガメにハンカチを落とした事を告げて渡した。


ウミガメはたいへん喜んだ。

「ハンカチを拾って頂きありがとうございました。このハンカチが無いと、私がこれから行くドラゴンランドに入れてもらえないところでした。お礼にあなたも一緒にドラゴンランドに行きましょう。」

そう言うとウミガメは俺を乗せて海原を泳いで行った。

現実には有り得ない展開にコレは夢の中であることは分かっていたが・・・

なんだかこれからおこる事に期待してしまった。


やがて深い海の底にたどり着く。

そこは海の生き物達の楽園だった。


「デンチュウゴン太様、ようこそお越しくださいました。」


奈々さんにそっくりな、いや本人と思われる乙姫様が俺を出迎えてくれる。

俺はデンチュウゴン太では無いがドラゴンランドで奈々さんに再び会う事が出来て感激した。

タイやヒラメが舞い踊り俺の事を迎えてくれる。


「さぁ、私と一緒にあの海賊船に乗って世界一周冒険の旅に出掛けましょう。」


まるでどこかのテーマパークみたいだと思っていたが・・・

奈々さんは俺と手を繋いでニコッとしたのでドキドキしてしまった。


その他沢山のアトラクションを奈々さんと一緒にまわって行く。

まるでデートしているみたいだ。

夢である事は分かっているがこの時間が永遠に続いて欲しかった。


しかし、楽しい時間ほどあっと言う間に終ってしまう。


「デンチュウゴン太さん、もう寿命が来てしまった様です。アナタは元の世界に戻らねばなりません。コレを私だと思って元の世界でも大切にしてください。」


奈々さんから紙袋を受け取ると俺は気を失い、気がつくと海岸にたたずんでいた。

俺は受け取った紙袋を開けてみる。

中にはハンカチと次回の入場券が入っていた。

次回の入場指定日は7月7日だった。

ハンカチからはフローラルな花畑の様な香りが拡がった。


花畑に居るみたいな香りに包まれて俺はもう一度目を覚ます。

枕にはハンカチと御守りが置かれ、涙で濡れていた。

時計の日付けは7月8日に変わっている。

カーテンの隙間から外を見上げると一面の天の川が、空を二つに分けていた。

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7月7日、乙姫様に会いに・・・ アオヤ @aoyashou

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