第2話 図書館周辺で

図書館に行く道中、数人の人に出会ったが、特に怪しまれるようなことはなかった。

 図書館についた。

「でかいのう」

 家康は図書館に近づくと、最初にそうつぶやいた。

「四五〇年後にはこのような建物を建てることができるほどの技術ができているのか。いやあ、素晴らしい」

 家康は目を潤ませていた。

「少し建物の周りを見てみようか」

 家康は先頭で図書館の周りを散策し始めた。

 家康はその間、電気や自転車を見てはこれは何だと子供のように尋ねた。泰示たちはそれにいちいち答えていくのだが、それがなかなか楽しかった。泰示たちもテンションが上がってしまったので、気づいたら、図書館は閉館になっていた。

「残念だのう。明日、行くか」

 家康は悲しそうに言った。

「そうですね。明日は土曜日ですし、僕らも暇ですよ」

 浩二が言った。家康は嬉しそうな笑みを浮かべた。

「そういえば、今夜はどこで過ごしますか?」

 泰示がそう尋ねると、家康は腕を組んで考え出した。

「君たちの家で過ごすのは無理だよなあ。父上や母上がいるだろう」

 家康に泰示たちはうなずいた。

「竹谷神社かの」

 家康は何とも言えない表情で言った。

「それじゃあまた明日、会うか」

 家康は泰示たちにそう言うと、神社に向かって歩いっていった。

「本物だよね」 

 浩二は確信するように言った。

「おそらく。これだけ会話もかみ合ってないし、現代人ではないと思うよ」 

「まさか、本物の家康さんに出会えるなんて、奇跡だ」

 浩二は舞い上がりながら、家へと向かった。

 一人となった泰示も家へと向かった。

 

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