寧々の過去 ③ 【寧々視点】

「お姉ちゃん?

 えっとお姉ちゃんって…」


孝介くんは、誰の事を言ってるのだろうか?

鈴…な訳ないし、

それに家に帰って来ただけって…


「お姉ちゃんは、お姉ちゃんだよ

 鈴お姉ちゃん」


「???、どっどう言う事?」


「あっお姉ちゃん」


孝介くんが私の後ろの方を見てそう言った。


「えっ?」


私は、後ろの方を向くがそこには、

誰もいない。


「あっうん、お母さんが手当てしてくれたの」


それなのに、孝介くんは、

誰もいない場所に話しかけている。


「こっ孝介くん」


私は、孝介くんに呼びかけるが、

目の前の私を見ることはなくなり、

ずっと誰かと喋っている。


「…あっ…」


私は、嫌でも気づいてしまった。

孝介くんが壊れているのを

その原因は、私であることも、


「でねお姉ちゃっ!

 …?、あれどうしたのお母さん」


「ごめんなさいごめんなさい

 孝介くんを一人にして本当にごめんなさい」


私は、孝介くんを抱きしめ

泣きながら謝る。


「うん?何言ってるの

 ここにお姉ちゃんもいるしお母さんも

 いるじゃない」


「あぁ違うの違うのよ!!

 孝介くん…あぁどうすればいいの!?」


誰か誰か孝介くんを助けて下さい

お願いします。


私は、そう祈りながら、

私達の居る場所に気づいた詩織達がくるまで

ずっと孝介くんを抱きしめていた。




 

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