寧々の過去 ②【寧々視点】
「はぁはぁ…孝介くん」
私は、家の前で息を整える。
予想通りなら、
ここに孝介くんが居るはず…
私は、玄関の前に立つそこでふと気づく
「…どうしよう、私は鍵を持ってない」
とりあえずチャイムを鳴らしてみる。
「はーい」
無人のはずの家から、
懐かしくもあり、声変わりの途中なのか
何処か違う声がきこえた。
「…孝介くん」
私は、こんな状況であるのにも関わらず
孝介くんに会える事が嬉しくて、
目に涙が込み上げてくる。
「あっ…いけない、しっかりしないと」
そうこうしていると
玄関の扉が開いて中から孝介が出てくる。
「はーい…あっ!!
お母さんお帰りなさい!!」
「えっ…ただ…いま?」
「うん?どうしたのお母さん?」
あまりにも、孝介くんの態度が自然すぎて、
逆に違和感を感じる。
「えっ…と」
どうすればいいのか戸惑って視線を下げると
そこには、血だらけの足があった。
「孝介くん、その足!!」
「ん?あれ怪我してる」
「いっ痛くないの?」
「えっ痛いけど〜まぁ大丈夫
それよりほら中に入ろうよ」
「そっそうね、早く中で治療しましょ」
私は、家の中に入り、
孝介くんをリビングのソファに座らせ
傷を治療する。
幸いな事に血が目立っただけで、
傷自体は、救急箱のもので治療可能だった。
「…よし、これで一応大丈夫、
後で詩織に見てもらいましょう」
「うんありがとう」
「それで、どうして黙ってこの家に来たの?
皆んな心配してたよ」
私がそう言うと
孝介くんは、不思議そうに首を傾げ答えた。
「えっ?お姉ちゃんと
家に帰って来ただけだよ?」
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