母との再会

「はい、どうぞ」


「あっありがとうございます」


孝介は、お母さん事寧々さんからお茶を受け取る。


孝介は、リビングに移った後

ふとこの家に飲み物がないのではと気づき

どうしようと内心テンパっていたが、


それに気づいたお母さんが代わりに

お茶を淹れる準備をしてくれた。


「それにしても、この家ガスとか電気とか通ってるんだね」


「ええ…掃除しに来たりとかした時に不便だから」


「あぁ…そうなんだね」


なるほど話の内容的に、

お母さんは、時々この家に来ている様だ。


「…それで、何でお母さんがこうくんと会ってるの?」


リビングに来てから、ずっと沈黙していた鈴さんが口を開いた。


「えっと…」


「最後に会ったのは、

 俺の卒業式でしたよね」


「ええ、会わないって決めたのに、

 どうしても、一目見たいと思ってしまって

 卒業式には隠れて行ったんだけど…」


中学の卒業式の日、

お母さんは、目立たない様に来ていた様だが

それに爺ちゃんや何故かお供についてきていた詩織さんが見つけ、

無理矢理、俺の前に連れてきた。


まぁその時は、

『…卒業おめでとう』

『…ありがとうございます。』

とした淡々とした会話だったが…


「…なにそれ…」


「…鈴」


「私には、こうくんとは家族じゃないとか

 言ってたのに、自分だけは、

 こうくんと会ってたんなんて

 ふざけるな!!」


鈴さんがバンと机を叩く。

「それは…ごめんなさい…でも」


「でもじゃない!!

 私があの時どれほどッ!

 あっ……今のは…」


鈴さんがハッとして、

こちらを見る。


俺とは、家族じゃない…か、

それって…


孝介は、一瞬胸が苦しくなったが

その後、一つ記憶を思い出した。


「それって…」


「ちっ違うの孝介くん」


「あっせめてるわけじゃなくて、

 それもしかして昔

 俺が言った事が関係してるんじゃ…?」


「…どう言う事?」


「それは…「孝介くん」」


「お母さん?」


「私から話させて…」


お母さんは、ゆっくりと昔の話を話し始めた。


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