終わりの告白

「…楽しかったね」

「うん」


帰る時間が差し迫るなか

孝介と日菜は、最後に観覧車に乗っていた。


「…こうちゃん、懐かしいね」


「うんそうだね、

 前一緒に来た時も二人で乗ったね」


「そうだね……あの頃は、ずっとこのまま

 変わらない日常が続くと思ってた。」


日菜は、外の景色を見ながらそんな事を言う。その目は、悲しみを帯びていた。


「今まで楽しかったよね?

 …辛いこともあったけど

 こうちゃんといられてよかった。」


「日菜姉…」


「ねぇ…


日菜は、優しくも儚い笑顔で孝介を見る。


「もう終わりにしよっか?」


その言葉の意味をわかってしまう。

日菜姉は、少し沈黙した後に言葉を紡ぐ。


「私は、あなたの事が…好きです。

 君のお姉ちゃんになると決めた、

 あの日からずっと…本当は、

 この気持ちを伝えたかった…だけど」


「…俺のせいで」


…俺が姉と言う存在を求めたから、


「ううん、孝介くんのせいじゃない

 怖かったの君のお姉ちゃんと言う立場を

 捨てるのが…」


日菜姉…そんな事を思ってたんだ…

俺は、ずっと気づかずに…


「まぁそのせいで……

 …ううん、それで孝介くん」


「…はい」

 

「返事を聞いてもいい?」


答え…そうだな日菜姉に、

自分の気持ちを伝えよう…


「うん、わかった…」


孝介は、目を閉じて考える。


俺は…

『こうちゃん』

辛い時に居てくれた日菜姉を


俺は…

『こうくん』

再開した愛しい家族だった鈴姉さんを


俺は!!

『『孝介くん』』


孝介は、目を開き日菜に答えを出した。



「…ごめん日菜姉の思いに答えられない」


「っ!……何でか聞いていい?」


「俺は…鈴さんの事が…好きだから」






俺は、鈴さんを選んだ。

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