姉の追求

「ねぇ、こうくん?」

「…はい」


ニコリともせずただ無表情で立ってる鈴の前で孝介は正座する。


「なんで、一緒にいられないの…?

 木曜日は、お休みだよどうして?」


「…ごめん」

「ごめんじゃ分からないよ大事な用?

 生徒会やバイトでもないはず.

 あっ…もしかして、男友達と?」


「あっ…そっ「嘘は、ダメ」…ごめんなさい」

 

誤魔化そうとしたのをすぐに看破された。


「悪い子」と姉さんは、呟いた後

座り込み目線をあわせてくる。


「私はね、こうくんの事を大好きだし、

 大切にしているわ」


スッと鈴は、孝介の顔に手を添える。


「だからね、そんなこうくんに、

 裏切られたりしたら、悲しい」


「いや、鈴さんを裏切った訳じゃ…」


「じゃ誰と会うの?

 それぐらいは、言えるでしょ?」


孝介は、少し沈黙した後に

小さな声で日菜姉と答えた。


「…そう日菜と…、

 なんで会うのかは、教えてくれる?」


「…ごめんそれだけは、言えない」


そうだそれは、勇気を出して誘ってくれた。

日菜姉を裏切る行為だから、

どんな事をされても言うつもりはない。

 

「……そう、わかったわ、

 こうくん少し待ってて」


そう言って、姉さんは、自分のスマホを持って玄関の方に向かっていった。


        ・

        ・

        ・

「お待たせ」


姉さんが数分たった後に戻って来た。

その顔は、さっきまでの怖い顔ではなく

何処か、ホッとした様な優しい笑顔だった。


「こうくん、木曜日の事はわかったわ

 気をつけて行ってらっしゃい」

「えっ?行っていいの?」


てっきり、ダメと言われると思っていた。

まぁ姉さんにそんなふうに言われても行くつもりだったが、


「フフ、当たり前じゃない

 私は、こうくんを縛りつけようとは、

 今は、思ってないしできないよ。

 それより私が怒っていたのは、

 こうくんが誤魔化そうとしたからよ」


「ごめん」

姉さんは、心配して言ってくれたのだろう。

そう思って孝介は、素直に謝る。

 

「ううん、謝らなくていいよ、

 その代わり、一つ言う事聞いて欲しいな?」


「えっうん、それで許してくれるならいいよ」


「あらッそう?

 じゃ行きましょう!!こうくん」


「えっ何処に?…ってちょっとごめッ足がッ!」


孝介は、正座していたことにより

足が痺れて、上手く立ち上がれない。


「フフ、まったくこうくんたら♡」

そう言って鈴は、妖しく笑っていた。

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