放課後の彼女は…②

「じゃまた明日〜」

「うんまたね〜」


「ほら急げー!!

 走り込み始めるぞ!!」

「やっべ急ぐぞ!!」


ガヤガヤガヤ

窓の外から、生徒達が下校する声や

部活の声が響いていた。


「みんな…元気だな〜」


目の前にいる日菜姉は、

再び外をチラリと見た後

こちらを向いた。


「…ごめんねこうちゃん、

 放課後呼び出して」

「いや気にしないで」

「…ありがとう」


日菜姉は、窓から離れて椅子に座り、

孝介も近くの椅子に座る。


「それでこうちゃ…」

突然日菜姉がこちらを見ながら固まった後

目に涙を浮かべる。


「どっどうしたの?」

「…ごめんなさい、私のせいだよね」

「えっ?」

「…その顔」


顔?あっ…もしかして、

「違う違うなんで

 そんなふうに思ったのか分からないけど

 日菜姉のせいじゃないよ」


そう日菜姉が謝る必要はない。


全て自分が思い詰めて、

自分を傷つけたのだから…


「…でも」

日菜姉は、納得できないのか

体を震わせ顔を伏せていた。


「日菜姉…、謝りたいのは、俺の方だよ。

 日菜姉は、勇気を出して

 告白してくれたのに俺は、逃げてしまった」


そうあの日、俺が日菜姉から逃げる時に、

チラリと見えた辛そうで泣き顔の

日菜姉の顔が浮かぶ、…胸が締め付けられる。


日菜姉は、どんな決意で、

告白してくれたのだろうか

…それから俺は、逃げてしまった。


「日菜姉…本当にごめん」


孝介は、頭を下げる。

もちろんこれだけで

日菜姉に許してもらえるとは、

思っていない。


孝介と日菜の間に無言の時間が過ぎる。

そんな無言の時間を破ったのは、

日菜だった。


「…あの…ね、

 確かにあの時は、辛かったけど

 こうちゃんが逃げるのもわかるから、

 謝らないで…」


「…日菜姉」


「でもね…その…ね」


「こうちゃん告白の返事は、

 欲しい…な?」


日菜姉は、そう小さな声で呟いた。

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