弟じゃなくて君が欲しい ③

「それじゃ、一旦帰るね」


「うん、姉さん服ごめん」


孝介は、血のついた服を改めて見る。

(うわ〜結構ついてるどうしよう…)

 


「気にしないで大丈夫よ

 …それじゃ、こうくん安静にしててね」


そう言って姉さんは、部屋から出て行った。


「そうは、言ってもな…ッ」


孝介は、ずきっとした痛みを感じ

苦虫を噛み潰したような顔になる。


「はぁ…自業自得とは言え痛て〜

 …仕方ない服のお詫びは、

 また後で考えよう」


そう言って孝介は、

寝室に戻っていった。







《鈴視点》


「はぁ〜」

私は、靴を脱いだ瞬間、

力が抜けその場にへたり込む。


「…よかった」


こうくんが自分自身を傷つけるのを

やめてくれて…

私とずっと居たいと言ってくれて…


そして、

「ありがとう…こうくん」


私の本当の気持ちを気づかせてくれて。


私は、自分の服を脱ぐとその服を抱きしめて

匂いを吸う。


「スー…あぁこうくんの匂い

 それに、…ペロッ…フフフ」


私は、こうくんと再会してから、

ずっと姉として、接して来た。

そうすれば、こうくんの側にいられるから。


だけど本当の願いは、そんな事じゃない

本当の願いは、

 ことだ、


私は、こうくんを愛している。


弟なんかじゃ物足りない、

もっともっと深い関係に…


あぁなんで忘れてたのだろう、

あんなにも、狂うほどに渇望し手を伸ばしたのに、


「…幸せだったから」


そうだ…幸せだったのだ…

目の前にこうくんが居て、

幸せそうに笑ってくれて、

だから私は、この思いを心の中に、

押さえ込んだ。


…だけど、思い出してしまったこの思いは、

もう抑える事は、出来ない。


「…こうくん♡」


こうくんは、過去と決別する覚悟を決めた。


なら私は、姉と弟から、

女と男になるように頑張ろうと

覚悟を決めた後

私は、にキスをした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る