拒絶は、好意の裏返し④ 【鈴視点】

ピンポーンピンポーン

ドンドン!

「こうくん…こうくん?

 えっ開いてる…こうくん入るよ!!」


返事が来ないことに心配になった鈴は、

孝介の部屋に入る事にした。

そこで目にしたのは、

廊下の一面に物が散乱していた。


「何これ…?

 もしかして、強盗…」


鈴は、不安に襲われるが奥から、

孝介の声が聞こえた事により、

勇気を振り絞り奥に向かい

恐る恐る孝介を探す。


「あっ…寝室からこうくんの声が…」


鈴は、寝室の中をこそっと覗くそこには…

ぼーと虚空を見て、

「…お姉ちゃん」と呟くこうくんの姿があった。


(えっ私?、…いや違う)


一瞬呼ばれたかと思ったが

こうくんが私に気づいている様子はない。 


どう話しかけよう…

私がそうやって考えてるうちに、

こうくんが突然、

「失せろッ!!」

と叫びながら自分の顔を殴り出した。


「何逃げようとしてんだよ俺は!!」


「ふざけるなよ!!、ガッ!

 俺だけ、ガッ!、幻想に逃げるなんて」


「えっ…こっ…こうくん…やめ…て」

鈴は、必死に止めようとするが

身体が恐怖で動かず、

声をかけようとするが上手く声を出せない。


(こうくん…やめて!!こうくん!!)


あぁ情けない目の前でこうくんが

自分自身を傷つけているのに、

それを止める事もできない。


ポタッ…ポタッ…と

赤い血が滴り落ちる。

やめて…やめてよこうくん…。


「…ハハハ…それでいいんだよ

 ……ハハハ…」


自分の顔を殴り続けていたこうくんが

急に殴るのをやめて笑い出した。


「…こうくん

 …え…こう…くん」


目の前の異様な光景にただこうくんの名前しか呼ぶことができない。


「…?」

その声がこうくんに届いたのだろう

こうくんが私を見る。


一瞬驚いたようだが、その後再び笑い始める。


「ハハ…そんなんだから、

 姉さんにも、避けられるんだ…」


!!、やっぱり気づかれてたんだ。

もしかして、私のせいでこうくんが…

「…こうくん…」


(あぁ鈴の言う通りだった。

 私の中途半端な行動のせいでこうくんを

 傷つけて…)


鈴は、無意識に後ずさりながら、

そんな事を考えていたが、


「ハハ…もういいから、

 消えてくれ…俺はッ…もう…

 …」


「…こうくん!?」

孝介の言葉に、

それまで考えていた物は、すべて吹き飛んでしまった。


…だめ…

鈴は、怖さも後悔も全てをかなぐり捨てて、

孝介の元に駆け寄り、強く…強く…抱きしめる。


だめよ…!!

こうくんは、突然抱きつかれた事に驚いて、

私を引き剥がそうとするが

私は、全力でしがみつく。


だってこのままだと

私は、こうくんに





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