トラウマを治すには… ①
「振り返る…つまり過去の心の傷つまり、
トラウマを乗り越えるって事?」
「はい」
孝介は、服を握りしめる。
そう今、孝介は詩織に協力を得て自分を見つめ直そうと考えていた。
詩織は、少し考えた後こう問いかける。
「じゃ孝介くん君のトラウマって何?」
「俺のトラウマですか…?
それは…その…家族に
…捨てられた事です。」
孝介は、乾いた喉を潤す様に、
出されていたお茶を飲む。
詩織は、その光景を見ながらうんうんと頷いた後続けて、
「…うんそうなのね、
…それで、君はそのトラウマのせいで
どんな事が起きた?」
「そっそれは…」
孝介は、言葉にしようとするが出来ず
冷や汗が止まらなくなり、
身体が震え出す。
「………」
まるで、身体と心が拒否している様だった。
もし口にしてしまえば今まで逃げてきた物、
支えにしてきたものを無くしてしまう。
そんな恐怖に押しつぶされる
…だが、それではいつまでも治らないままだと孝介は、勇気を振り絞って震える声で
伝えようとする…が、
「それ…は…!!」
パンッ!
「はい、そこまで」
そう言って、詩織さんが止めてきた。
「それ以上は、君の心に負担が
かかりすぎるからドクターストップよ
…でも、すごいよ」
「…何がですか?」
「うん?前の君なら、
自分のトラウマを言うだけでも、
発狂してたのに今は、言えてしかも
症状まで言おうとするなんて、
…本気なんだね?」
詩織さんは、真剣な眼差しだった。
「はい、本気です」
俺は、間髪入れずに答える。
「……そう、わかったわ
正直今までのカウンセリングは、
治すでは無くて、緩和する方針だったけど
これからは、治す方針で行くわよ」
「はっはい」
「フフ、安心して私だって、
精神科医の端くれだから、
それじゃ孝介くんじゃあまずは、
君の症状について話そうと思うわ、
覚悟は、いいね?」
「はい」
「うん、いい返事
それじゃ最初に説明するけど
これからするのは、
自分の状況を把握する作業
これをする事で君は、
自分の心の傷を理解する事ができる。」
「そして、傷を理解できたら、
そこからは、ゆっくりと治療していく」
「ゆっくりって、どれくらいですか?」
んーと詩織さんは、首を傾げつつ
「二、三年かかる事もあるし、
逆に一日で治る事もある。
これは、個人差があるわ、
ただ心の傷を理解できてるか否かは、
治る成功率に関わるかわ、
さて、これで大体理解できたかしら?」
「ええ、大体は」
孝介が返事した事を確認してから、
詩織は、孝介の症状を説明し始めた。
「まぁ無気力感とか、すぐ落ち込むとかも
あるけど、孝介くんの場合は、
・姉を無条件に信用する事
・家族への執着
・いないはずの家族と会話する
この三つが特に目立つね、
孝介くんは、理解できる?」
「俺は…」
「うん…まぁ今から一つずつゆっくり
確認していきましょうか?」
「…はい」
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