姉は離れ、孝介は振り返る ②

姉さんがうちに来なくなって数日がたった。

当初は、ああは、言ったけど隣同士だし

会うだろうと思っていたが、


実際には、家から出た時に会う事もなく

学校でもほとんど会わなくなってしまった。


もちろん生徒会では、

顔を合わせるがほとんど会話がない上

仕事の内容が違うのか一緒に作業する事も

なくなった。


そんな状況の孝介だったが、

予想に反して、落ち込む事も無く

普通に生活していた。


「おーい孝介、今日遊ばないか?

 生徒会も休みだろ」


金曜日の放課後帰り支度をしている。

孝介の前に秀助が現れた。


「すまん、今日はすまん無理だ」


孝介は、手を合わせて謝る。


「あーマジでか、

 土日は、俺がダメだから

 遊ぶとしたら来週か」


「そうなるな、すまん

 …どうした?」


「…いや、何かあったか?」

秀助が不思議そうにこちらを見る。


「…特に、何で?」


「いや…雰囲気変わった感じがしてな、

 つい先日の様に思い詰めた感じがなくて

 それはよかったが…

 何か卑屈って言うか…何と言うか…」


「そうか…?

 だったら、すまん」


「それだよそれ、孝介本当に

 どうしたんだ?」


秀助は、心配した顔で孝介を見る。


孝介は、ふっと笑って、

「いやただ、俺はダメな人間だなって、

 相手は、真剣に考えてくれて

 前に進もうとしてくれてるのに、

 その原因の俺は、覚悟も中途半端でさ…」


そんな言葉を聞いた秀助は、サラリと

「ふーん、なるほどね

 確かにお前は、ダメ男だな」

と言い放った。



「何てったって孝介お前は、まず心が弱い、

 少しでも辛い事があったら

 自分は不幸だ〜って、

 思い込んで落ち込んで

 そこから、逃げ出そうと

 楽な方に楽な方にと逃げる癖がある。

 …まぁそれは、年上の女性にとっては、

 保護欲そそられていいかもしれないが」


孝介は、言い返そうとするが

図星すぎて言い返せない。


「ふっ…なんだ自覚してる顔だな」


「そりゃ…まぁ…」


「…ふっ…ならいいさ、

 自分の欠点に気づいたって事だからな

 それで孝介、それに気づいた

 お前はどうするつもりだ?」


「それは……」


        ・

        ・

        ・

        ・

        ・


「フフ…それでここに来たと?」


そう言って、楽しそうには笑う。


「…はいそうです。

 これからどう言う結果になっても

 後悔しない様に自分を

 変えたくてきました。」


「ふーん、それで具体的には?」

 

孝介は、数秒間目を閉じた後

覚悟を決めて告げる。


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