日菜の困惑と鈴の戸惑い② 【鈴視点】

「…何で日菜がその事を知ってるの?」


目の前にいる日菜を睨み付ける。


私は、生徒会の仕事もひと段落し

生徒会室に戻ろうとしたが、今日は特に

こうくんと顔を合わせるのが気まずくて

教室に来たのだけど…


「それは、わかるよ

 こうちゃんの様子を見てれば」


「そんな…」


「わかるよ、私が何年こうちゃんの

 側に居ると思ってるの?」


「ッ…!」


私は、その言葉を聞いて、

口をつぐむしかなかった。


…それは、

こうくんが辛い時側にいたのは、

私では無く日菜だったから、


「それで鈴ちゃんは、返事をしたの?」


「……それは、日菜には関係ないでしょ」


「…そうだね、こうちゃんを捨てたくせに

 私からこうちゃんの姉と言う立場も奪って

 のうのうと生活してる、

 鈴にとっては、関係ないよね?」


「………」


「幸せだよね?

 こうちゃんの側にいられて、

 こうちゃんから告白されて、

 私が…心から望んだものを…」


そう言って日菜は不気味に笑った、

その顔は、まるで自傷したような

痛々しかった。


そんな日菜を見て私は、

言い知れない狂気を感じて

何も言えなかった。


「…まぁ言いたくないならいいよ」


そう言って、日菜は私の方に歩いて来て

すれ違う寸前に、


「でも、このまま中途半端な態度を取って、

 こうちゃんを傷つけ続けるなら、

 私…許さないから」

 

そう言って、日菜は教室を出て行った。







「………私…は…」


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