日菜の困惑と鈴の戸惑い① 【日菜視点】

「日菜会長、さよなら〜」


「えっ…うんさようなら、

 気をつけて帰ってね」


「はーい」


私は、挨拶をしてくれた生徒に

挨拶を返して、再び歩き出す。


こうちゃんには、

用事があると言って生徒会室を出て来たが

本当は、用事なんてなくてただ

気まずくなりでて来た…


「…どうして…」


私は、気づけば自分の教室に来ていた。

教室は、放課後というのもあり

誰もおらず

私は、自分の席に座り項垂れる。


「はぁ…わかってたじゃない

 私がこうちゃんを告白するように

 誘導したんだから…」


私は、こうちゃんの言葉を思い出す。

『うん確かに鈴姉さんに告白した…よ』


「ッ…やっぱり、きついな…

 こうちゃんから直接聞いちゃうと…」


私は、溢れる涙を必死に抑える。

だって私にはそんな資格はないのだから、


「…それにしても予想外だったのは、

 鈴ね、答えを引き伸ばすなんて」


予想外の事で、

こうちゃんの言葉に驚いてしまった。


私の予想なら、

鈴は、告白の返事をちゃんと

すると思っていた。


もし、今のこうちゃんの関係に

不安を感じていたなら、告白を受け入れて

関係を強固にするだろうし、


逆に満足してるなら、

告白を断りつつ今の関係で

続けていくと思っていた。


けど結果は…

鈴の気持ちがわからない

何を考えて告白の答えを先延ばしにしてるの?


まさか、私が言った通り

こうちゃんの側に居るのを考え直して…

いやそれは無い、鈴がこうちゃんから

離れるなんてあり得ない。


「日菜?何でここに」


「…鈴ちゃん」


呼ばれた方を見ると

教室の扉から鈴がこちらを見て立っていた。


「日菜、生徒会室にいるはずよね忘れ物?」


「そっちこそ、どうして教室に?」


「私は…別に…」


そうぎこちなく鈴は、答えた。


(ああ…生徒会室に居たく無いのね

 生徒会室には、こうちゃんがいるから…)


「それより、日菜は?」


「…私は、鈴ちゃんの言った通り

 忘れ物しちゃって」


そう言って、適当に机の中に入れていた

ノートを取り出し見せる。


「そう…」


「うん…」


私と鈴の間に無言の時間ができる。


そんな無言の時間を破ったのは、

私だった。


「…ねぇ、こうちゃんから、

 告白されたんでしょ?」


ピシッと教室が凍りついた感じがした…


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