空虚な星空④ 【日菜視点】

「こうちゃん?どうしたんだろう」


日菜は、走って来た孝介に気づき

孝介と会話しているお母さん達に近づく


「あれなかった?

 色々荷物置いてたでしょそこに、

 一緒に置いてたはずだけど?」


シスターが首を傾げこうちゃんに言う

私は、途中からの為

詳しい内容はわからないがこうちゃんが

何かを探している様だった。


シスターの言葉を聞いたこうちゃんは、

私に視線を合わせることもせず

踵を返して走って行った。


「えっこうちゃん!?シスター、

 こうちゃんどうしたの?」


「毛布を探しに来てたの

 まぁこれから冷えるからね」


「あっそうだったんだね、

 よかった〜」


「日菜ちゃんは、

 本当に孝介くんの事好きね」


「ななな、そんな事!!」


私は、顔を真っ赤にして慌てて否定する。

(大丈夫だよね気づかれてないよね)


「フフ…そう言う事にしとくわね、

 それにしても、わかりやすい

 場所に置いてたはずだけどおかしいわね

 孝介くんは、気づかなかったのかしら?」


そうやってシスターは、再び首を傾げる。


「確かに変だったわね。

 会話してるのに何処か心ここに在らず

 みたいな感じで…」


お母さんとシスターの会話を聞いて

嫌な予感が頭をよぎる。


「…私、先にこうちゃんの所に行く!!」


「ちょ!日菜」

私は、こうちゃんの後を追い走り出した。




「はっはっ…こうちゃん!!」

私は、こうちゃんが居るはずの場所

に着いたが、


「えっ…あれ?こうちゃん…?」


その場所には、こうちゃんの姿はなかった

体が震える悪い想像が頭をよぎる。


バッバッと周りを見渡す。

毛布など防寒が纏めて置いてある場所を

見ると明らかに一枚持って行った後がある。


「どこに居るの…?」


私は、急いで周りを探す。

「……いた!!」

少し歩いた所にこうちゃんは、一人で座っていた。


「こう…「これで暖かいでしょ?」」


え…?


こうちゃんは、そう言って

誰かがいるかの様に大げさに

毛布にくるまる。


「…暖かいね」


えっ…えっ…

私は、今見ている光景が理解できなかった。

確かにこの場には、こうちゃんと私しかいないはずだなのに、


こうちゃんは、誰かと会話している

そして、私が見たこともない笑顔を

その誰かに向けている。


その光景に恐怖も感じたが

それよりも胸の奥が何故か苦しい…


「大丈夫俺は、ずっとそばにいるよ」



「ッ!…こうち『ドーン!!』」

私がやっと絞り出した言葉は、

花火にかき消される。


空は、星空の代わりに、

赤色や黄色、緑と

色々な花火が大きく咲き乱れている。


それをこうちゃんは、見つつ会話を続けている。


こうちゃんの横顔を見える。


「あ…」


その瞬間私は、直感で理解してしまった。

…このままじゃこうちゃんは、

もう、私の元へ帰ってこない…


そう理解した瞬間

…私は…「こうちゃん!!」と

叫びながら抱きしめる。


「……?」


こうちゃんは、

抱きしめられてるのにも関わらず

ほとんど反応がない、

私は、必死に叫ぶ

「だめ!こうちゃんだめだから!!

 こっちを見て!こうちゃん!!」


こうちゃんの顔を無理矢理向かせ

こうちゃんの目を見つめる。


…ふざけるな…

私の好きな人持って行くな…

側にいない空虚亡霊が

こうちゃんを惑わせるな…


こうちゃんは、私のそばにいるべきなんだ!

それ以外いらない!!


私が無理矢理見つめていると

こうちゃんに変化が出て来た。


「…日菜姉…?」


「こっ!こうちゃん!!」


「えっ?えっ?」


「よかったよっっっ!!」


いつものこうちゃんだー!!

戻ったんだ!!


私は、お母さん達が探しに来るまで

号泣してしまった。





…こうちゃん大丈夫だからね

  私がずーーーと側にいるからね…










これで四.五章、終了です

次から、五章になります。

五章は、ストックを作りながら

ゆっくり頑張っていきます。


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