五章 隣にいる彼女は?

歪んだ後の歪んだ関係①

『姉さん…これからも一緒に

 居てくれるんだよね』


『ええ』


『うん……なら姉さん

 俺と付き合おう』


『…どう言うこと?』


『だから、

 結婚を前提に付き合おう

         ・

         ・

         ・

「ん……夢…か…」


孝介は、ベットから体を起こす。


鈴姉さんに告白してから数日

長い夏休みも終わり、

学校も二学期に入っていた。


「…はぁ」


俺は、ため息を一つついて寝室を出る。

寝室を出るとキッチンから姉さんが出てくる。


「…おはようこうくん」

「…おはよう姉さん」




カチャカチャ

「………」

「………」


自分と姉さんは、

朝ご飯を一緒に食べる。


「…こうくん、学校どう?」

「どうって、普通だよ」

「そっそう…あっ今日から、

 生徒会が始まるけど…」


「うんそうだね、

 姉さんどうする?

 一緒に行く?それだったら、

 姉さんの教室に迎えに行っても…」


「いいえやめておきましょう

 終わる時間バラバラだろうし…」

「…そう?」

「うん…あっもちろん

 こうくんと一緒に行きたくないとかじゃ

 ないから」

「うっうん…」


「………」

「………」


(はぁ…気まずい…)

告白したあの日から、

姉さんとギクシャクしてしまっている。


何であの時告白したのだろう

いや…今でも告白をした事自体は、

後悔はしてないが自分自身

何か誘導されたように感じてしまっている。


「こうくん…?」

「えっ!?…どうしたの?」

「いえ、ぼーとしてたから?」


「あっ特に理由があって

 ぼーとしてたわけじゃ」

「本当に?」

「ええ」

「…そう」


「………」

「………」

そして、再び無言の時間が始まった。




「ごちそうさまでした」

「…ごちそうさまでした」


「じゃあ片付けするね」


そう言って姉さんが食器を片付けようとする。

「あっ俺が運ぶよ」


自分も手伝おうと手を出す

するとちょうど同じ皿に手を出した

姉さんの手に触れる。


バッ!

「あっ…ごめん」


「ううん…」

姉さんは、手をすぐに引っ込め

「大丈夫よ…ちょっと

 びっくりしちゃっただけ」

と言ってフフとぎこちなく笑い

再び片付けを始めた。


(姉さんに無理をさせちゃってる…

 俺が告白したから…でも俺は)


「…姉さん」


「うん?…どうしたのあっ夕ご飯、

 何食べたい?」


「姉さん」


「わっ私は、お魚がいいと思うの

 こうくんは?」


「姉さん!!」


ビクッと

姉さんの体が揺れる。


「そろそろ…返事が聞きたい」


「そっそれは…」


「あの日、姉さんは、

 少し待ってと言ったよね」


「…ごめんもう少し」


「もう少しって、後どれくらい?

 俺は、答えが聞きたいだけなんだ」


「…こうくん…ごめん…すぐには、

 答えられない…ごめん」


そう言って姉さんは、

何も持たずに部屋を出ていった。

その横顔は、赤く染まっていた。


「…ごめんって、

 俺は謝ってほしいわけじゃ…」


…姉さんから答えが聞ける日は、

 来るのだろうか…



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る