恋する花火③

「...で?なんであんな真似したんですか?」


「あはは、ごめんごめん」


孝介、梓、里紗、秀助の四人は、

花火大会の出店立ち並ぶ場所から、

人通りが少ない場所に移動していた。


「...大変だな、孝介」


「...お前もな」


孝介と秀助は、

梓に注意している里紗を見ながら話している。


「それにしても、

 いつその...婚約したんだ?」


「おとといだ...」


「なんでそんな事に」


「知らん、気がついたら、

 外堀が埋まっていた」


「俺たち高一だぞ

 早過ぎないか?」


「ああ...そうだよな!!

 そう思うよな!

 よかった...俺だけじゃなかった

 周りは、さも当然のように話すから

 俺がおかしいのかと」


秀助は、ホッと息を吐いた。


「秀助が、そう思ってるなら

 もう一度話し合えば?」


「うーん、そうなんだが...」


「うん?」


「いや...それで里紗との仲が

 悪くなりそうだな〜と思って、

 それなら、このまま婚約しててもいいな〜

 と思って」


「えっ?婚約だぞわかってるのか?

 結婚の約束だぞ?」


孝介は、秀助の方を見る。

「里紗は、幼馴染として

 いい奴だと思うが、

 婚約だぞ決めていいのか?」


「うんでも、里紗の事好きだし

 できれば、将来的だけど

 一緒になりたいと思ってる」


秀助は、真剣な眼差しでこちらを見る。


「…まぁ秀助がいいならいいが、

 何か問題が出来たら相談しろよ?」

 

「あぁありがとう」

秀助は、恥ずかしそうにお礼を言ってきた。

 

「孝介は、どうなんだ?」


「俺?...俺は、全然

 と言うか今は、いいわ」


「なんで?

 確か夏休み前は、彼女欲しいとか

 普通に言ってだじゃん」


「えっそりゃ...色々あって、

 今は、彼女より大切な物があるから」


「……鈴先輩のこと?」


里紗がこちらの話に入ってくる。


「いいね〜愛されてるね〜

 鈴ちゃん、そこに私も混ぜてくれると

 嬉しいだけどな〜」


梓さんは、笑いながら言う。


「すいません、俺の姉は、

 ですので」


「えぇ残念〜」

全然残念そうに見えない。


「...ねぇ」


ビクッ!

里紗の一段と低い声にびっくりする。


「孝介、一人だけって...どう言う事?」


「えっ...あっ...その」


「………」


里紗に睨まれ上手く言葉にできない。



「そんなにこうちゃんを

 いじめたらダメだよ、里紗」


「...お姉ちゃん」


「...日菜姉」



そこにいたのは、

「こんばんは」

 浴衣姿の日菜姉だった。

 









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