間話・幼馴染として貴方に【鈴視点】

バタンッ

「今日は、宜しくお願いします」


後部座席に座った里紗が

私達に、頭を下げる。


今日は、里紗と共に

とある場所に行く


「頭下げなくていいのよ里紗

 ただ約束を果たしているだけだから」


「...でも」


チラリと里紗を見ると

とても緊張しているのが目に見える。


(まぁ無理もないわね、

 今日は、彼女にとって、

 とても大切な一日になるのだから)


「鈴の言う通りよ、

 里紗ちゃん頭下げる必要は無いわよ

 どうせこの子が、

 ろくでもない事でもお願いしたんでしょ?」


「侵害ね有意義な交渉と言って

 貰いたいわね」


運転している梓に向かって、

話しかける。


「ふーんほんと?里紗ちゃん」


「はいそうです梓さん

 私一人なら、こんなに早く今日の日を

 迎える事が出来なかったでしょから」


里紗は、頬を染めて微笑む


「確かに早いわね...と言うか

 早すぎると思うけどね

 お姉ちゃんびっくりよ!」


「そうかしら普通じゃない?」


「はい、そうだと思いますけど」


私と里紗がそう言うと


「いやいやいや、おかしいでしょ!

 高校生がの為に、

 相手の家に行くなんて!

 ...え?なんで二人は、

 不思議そうな顔をしてるの?

 ...おかしいのは、私の方?」


「いいから運転に集中しなさい

 それに、梓だって得してるじゃない」


「うっ、確かに

 精神科医の権威である

 お話し出来る機会を得れてるのは、

 確かに得してるわね」


「そうでしょ?

 ならいいじゃない...ね?」


そう言って、里紗の方を見てると

顔色が悪そうだった。


「どうしたの?

 もしかして、酔った?

 梓の運転は、荒いから」


「えっ!そんな事ないでしょ!

 あっでも、里紗ちゃん気持ち悪かったら

 言ってね?すぐ止まるから」


「...大丈夫です。

 ただ、断られたらどうしようと

 思いまして...」


「...梓、あなたのせいよ」


「えっ私!?

 えっと里紗ちゃん...大丈夫よ!!

 秀助くんの親御さんは、

 ほらっ......ね?」

 

梓が、こちらに助けてっ!と

助けを求めてくる。


...仕方ない

「里紗安心しなさい、

 あちらには、根回しをしてるし

 もし何かあったら頼りなさい

 私が何とかするから」


「いいのですか?」


「ええ、私にとってもちょうどいい機会だわ」

 

秀助くんの親が経営している会社は、

元々あのクソ(祖父)が融資していた

会社の一つだった。


当初は、返してもらおうとしたが

秀助くんの親から、

『とても今は、返せない』と土下座されて、

そのままお金は、貸したまんまだった。


「最近うるさいのよね、

 もう少しお金を借りられないかとか

 毎月の返済額を減らせないかとか

 こっちが高校生だからって舐めてるの」


「経営が厳しいんじゃないの?」


梓の言葉に、苦笑する。


「経営が厳しい奴が、

 果たして新しく高級車買うのかしら?

 ...とにかく、一度締め上げる必要があるの

 だから里紗、何か言われたら言いなさい

 ついでに締め上げるから」

 

里紗は、少し苦笑しながら、

「ありがとうございます」とお礼を言う。


「ハァ...これがJKの会話だと

 思いたくないわ」


何か、梓が呟いたようだけど

上手く聞き取れなかった。


「それにしても、

 鈴さんまで、来てくれるなんて

 驚きました」


里紗がそう言うと


「そうね、最初は来ない予定だったのに、

 どんな風の吹き回し?」


と梓が聞いてきた。


「それは...」


「あっもしかして、

 孝介くんと何かあった?」


「...違うわ」


「その態度は、肯定にしか見えないわよ

 そっか、孝介くんかぁ〜」


「何が言いたいの?」


梓の含みのある言葉にイライラする。


「いえ、ただあの子

 


「それって、どう言う...?」


「あっ着いたわよ」


そう言って、車を止めてさっさと

出て行ってしまった。


「ちょっと今の言葉!?」


「...鈴さん」


梓の後を追おうと車から出ようとすると

里紗が話しかけてくる。

その声に振り向くと

里紗が真剣な顔でこちらを見る。


「どうしたの?」


「私からは、詳しく言えませんが

 孝介の幼馴染と一言だけ言わせてください

 どうか...

 


そう言葉を残して里紗が車を降りていった。








「こうくんを......救う?」

 







 

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