登校日
夏休み途中にある登校日
朝、朝食を食べ終えた頃に、
チャイムがなった。
ピーンポーン
「ん?」
(姉さんなら鍵開けてくるよな、
じゃあ誰だろう?)
孝介は、玄関に向かい開けた。そこには、
「おはよう、こうちゃん」
「日菜姉?」
制服姿の日菜姉が立っていた。
「あれもしかして、まだ準備中だった?
学校一緒に行けたらな〜と思って、
来たんだけど」
「いやすぐに準備できるよ
でも…」
そう言って孝介は、後ろを振り向く
それにつられて日菜も見ると
ニコリと笑っている鈴が立っていた。
「…あら、朝から元気ね」
「…鈴ちゃん、おはよう」
「おはよう日菜、朝からどうしたの?」
「こうちゃんと一緒に登校しようと思って」
「あら、私は誘ってくれないの?」
「それは……」
「……」
「……」
「えっ…と…」
気まずい雰囲気が流れる中
口を開いたのは、鈴姉さんだった。
「…なんてね」
そう言ってニコリと笑って
鈴は、孝介の方を見ると
「こうくん、先に日菜と一緒に行ってくれる?」
「えっでも」
「私は、今日お休みするの
…締め切り近くって」ボソッ
後半は、自分だけに聞こえるように
ボソッと伝えてきた。
その鈴姉の顔は、
遠くからだと気づかなかったが
近くで見ると疲労が滲み出していた。
「なるほど…わかったけど無理しないでね」
「うん、それじゃ日菜、
こうくんをよろしくね」
「えっうん」
事情が飲み込めない日菜は、ただ返事するしかできなかった。
そう言う事で、
鈴姉さんに見送られ二人で
登校する事になった。
ミンミンミン
夏の日差しが降り注ぎ、
前日の雨に濡れた道路から湯気が出ている
そんな蒸し暑い中二人は、
学校に向かい歩いている。
「…暑いね、こうちゃん」
「うん、昨日は雨だったから
一段と蒸し暑い」
「はぁ〜何でこんな日に登校しなきゃ行けないの〜」
「いやそれを生徒会長の日菜姉が、
言っちゃダメでしょう」
「いいの〜誰も聞いてないから」
そう暑そうに服をパタパタする。
「俺が聞いてるんだけど」
「それより、あの場で聞こえなかったけど
何で鈴ちゃんは、休むの?
具合が悪そうにも見えなかったけど」
と話題を変えて聞いてきた。
「あ〜…ごめん
俺も詳しい事は、知らないんだ」
姉さんの仕事は、言えないからね
「ふーん…ほんと?」
「…ほんと」
ジーと疑わしいと見つめてきた
日菜姉だったが、
一つため息をしただけで諦めてくれたようだ。
「…まぁそれより、
お母さんから伝言があるよ」
「伝言?」
孝介は、嫌な予感をビシビシと感じていた。
「うん、お茶しましょうだって」
あの詩織さんが自分を女装させようとした。
あの日から、詩織さんの誘いを
それとなく断っていた。
まぁそのせいか知らないが、
頻繁に喫茶店の方に来るようになったが、
「ハァ仕方ない…わかった、それで、
いつするか聞いた?」
「ごめんねお母さんが、
それと今日の放課後とかどう?」
「放課後ねわかった」
「了解、それじゃ連絡しとくね」
そう言う事で放課後、
詩織さんの所に行く事になった。
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