知り合い?③ 【鈴視点】

「鈴さん大丈夫ですか?

 少し顔色がお悪いようですが」


「…大丈夫です」


あぁ身体震える怖くて怖くてたまらない

私は、震える手を抑える。

ここで目立ってしまったら、

お祖父さんに気づかれてしまう。


私は、気づかれるわけにはいけないの、

今のこうくんとの生活を守る為にも、

だってお祖父さんは、

私を



「もしあれなら、横になりますか?

 ここのマスターとは、知り合いなので

 お願いすれば一室を借りられると

 思いますが?」


「…いえお気遣いなく、

 少しすれば治ると思いますので

 どうぞ進めてください」


私がそう言うと

秋さんは、心配しながらも渋々

カバンから、資料を取り出し説明を始める。


(フウ…うん何とか落ち着けそう

 だけど喉が渇いたわね

 そろそろ…こうくんが、

 持って来てくれるでしょう)


そう思っていたら、

「お待たせしました」

と声が聞こえた。


(あれ?こうくんの声じゃ…!?

 なっ何でお祖父さんなの???

 えっ……)


まさか、飲み物を持って来たのが

お祖父さんだなんて思わなかった。


鈴は、顔を見られないように

咄嗟に頭を下げる。

(気づかれるな気づかれるな)


「あっありがとうございます。

 マスター」


「いやいや、それにしても久しぶりだね

 元気してた?」


「ええ、元気にしてましたよ。

 なかなか仕事で帰れなくて

 大変でしたけど」


秋さんとお祖父さんは、

そんなふうに楽しそうに会話している。


私は、その会話の内容も頭に入らず

ただ気づかれるな気づかれるなと

祈っていた。


だがその願いは、叶うことはなく。


「鈴ちゃんもはいどうぞ」


そう言ってお祖父さんは、

コーヒーと頼んでいないはずの

チョコレートケーキを私の目の前に置いた。


「えっ……何で」


「うん?嫌いになってしまったかな?

 鈴ちゃんは、小学生の時は、

 チョコレートケーキ好きだったから、

 これにしたんだが」


「いえ好きですけど……そう…じゃなくて」

(なんで気づいたんですか?)


鈴は、顔を上げてお祖父さんの顔を見る。

その顔は、慈愛に満ちた昔見た時と

変わらないあの顔だった。


「そりゃ君は、

 昔と変わらず、わしの孫だからかな」


「!!」


そう言って、お祖父さんが私の頭をポンポンとしてから、ウインクをして去っていった。


「あっ…」


許してくれた……?

私を…?

いや…違う最初から私を受け入れてくれてたんだ。

あぁ、緊張の糸が切れたのだろう

身体から力が抜ける。


「フゥ……よかった…本当に」


「……なるほどあなたが」


「え?」


緊張から解放されて、

鈴は胸を撫で下ろした。


そんな鈴を見て、

秋は、ぼそりと呟いて、何処かホッとした

視線を送ってくる。


「えっと、秋さん?」


「あっ!…すいません何でもありません

 さぁ!!お話の続きをしましょう」


そう言って、

秋さんは、仕事の話に入った。


(秋さんどうしたのかしら?

……まぁいいわ、大した事では、ないでしょう、それよりお祖父さんに受け入れられたわ、あぁとっっても嬉しいわ、だってこれでこうくんとの間を邪魔するするものはいないものどうしようかしら、お姉ちゃんとして同居から始めるべきかしらでもでも、こうくんも高校生だしやっぱり恥ずかしなるかしら、でも家族だもんね♡でも今一人暮らししてるのは、もしかして誰かを入れる為…え、もしかして彼女?いやいやいや…そんなの……え?嘘よね…嘘、本当にいるのかしらいるのなら………その女…………処理しなきゃ…)


「あの鈴さん?」


「はい、…どうしました?」


「えっいや、話し聞いてます?」


「もちろん」


ニコリと笑顔で返す

(いけない、いけない今までの

 会話一切聞いてなかったわ

 しっかり聴かないと)


鈴は、気を取り直して仕事の会話に集中し直した。







《》

鈴→祖父は、鈴の事を嫌ってると思ってた。

祖父(マスター)→今でも孫だと思ってる。


やってみたかった長文できて嬉しい。

読んでくださってありがとうございます。







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