関わり合う夏

夏の距離

「どうしたのこうくん?

 わからない所でもあった?」


「あっすいません大丈夫ですよ」


今日、鈴と孝介は、孝介の部屋で

各々作業に取り組んでいた。


きっかけは、鈴姉さんと朝食を食べいた時

『こうくんこの夏バイトばっかりしてるけど

 学校から出された課題はしてる?』


そう聞かれて、正直にあまり手をつけていないと答えたら、


『じゃ私が、見てあげるからしよう?』

と言う話になり、課題に取り組むことになった。


「わからない所があったらいつでも言ってね」


そう言うと姉さんは、

ノートパソコンに向き直りカタカタと

何かを打ち始めた。


先日の姉さんの仕事を

知ったあの日から、

姉さんは、俺の部屋で原稿を

取り組む事が多くなり、

今日も原稿を打っていた。


「どうしたの?」


姉さんがかけていた眼鏡をくいっとして、

こちらを不思議そうにこちらを見ている。

どうやら、姉さんをジーと見てしまったようだ。


「すっすいません、えっと眼鏡をかけてるのが珍しいなと」


「そっそう?似合ってないかな?

 コンタクトは、疲れるから眼鏡にしたんだけど」


そう言うと姉さんは、眼鏡を触る。


姉さんは、

今日ゆったりとしたワンピースで、

髪は、編み込んであり、

とても、綺麗で眼鏡も似合っていた。


「似合ってて、綺麗ですよ

 ………あっ、」


つい孝介は、本心をぽろりと出してしまった。


「フフありがとう、こうくん」


姉さんは、ニコリと微笑んだ後

少し考えた後、


「ん…でも、そう言うと事

 他の女の子に言ってないよね?」


ズッと姉さんがこちらに顔を寄せてきた。

眼鏡の奥に見える目には、何故か光がない。


「いや…ない、はずです」


「ーーほんと?」


姉さんがスーと目を細める。


「ほっ本当、本当です!!」


姉さんは、ジーとこちらを見ていたが、

……ニコッと笑ってこちらに身体を寄せてきた。


「…そうだよね、信じるよ

 でも気をつけてねこうくん、

 世の中には、ちょっとした言葉で

 勘違いする女もいるからね」


正直何言ってるか理解できなかったが、

ただただ孝介は、コクコクと首を振るしかなかった。

        ・

        ・

        ・

        ・

        ・

「こうくんそろそろ一旦休憩しようか?」


姉さんは、パソコンから、

顔を上げ立ち上がり

キッチンに向かおうとする。


「こうくんは、麦茶でいい?」


「えっ…はい」


「わかったわ、すぐ持ってくる。」


孝介の返事を聞いた後

鈴姉さんは、キッチンに向かって行った。


「…ふぅ、やっと落ち着ける」


あの後、二人は各々の作業に戻ったが

何故か姉さんが肩が当たるほど密着する場所に移動して来た為、


孝介は、ドキドキしてしまって

課題に集中できなくなってしまった。


「あれじゃ集中できないよ」


「フフ、何が?」


鈴は、キッチンからこちらに歩いて来て、

麦茶を渡しすぐに孝介の隣に座った。


「あっありがとうございます。

 …あの暑くないですか?

 距離…近いですし」


「ううん、全然暑くないわ、

 フフフ、私達兄弟なんだから、

 恥ずかしがらなくていいじゃない」


姉さんが、身体を寄せて来て

腕に柔らかいものが当たっている。

それを感じて顔が熱くなる。


それに気づいた鈴は、

「……可愛いこうくん

 なんでこんなにも可愛いのかしら」

と抱き締めてくる。


「えっ!?うっうわ!!」


それに驚いてしまい

孝介は、鈴もろとも後ろに倒れてしまう。


「ねっ姉さん急に何を!?」


「フフフ、私は、我慢してたのよ

 なのに、こうくんが可愛いから仕方ないよね」


そう言いながら頭を撫でてくる


孝介は、それをただ呆然と受け入れるしかなかったが、

突然部屋にスマホの音が響き渡った。


「…は!!

 ねっ姉さん!姉さんのスマホじゃない?」


「……チッ」


そう言った後、孝介から離れスマホを取る。


「…ハァ、

 ごめんねちょっと電話してくる」


そう言いながら姉さんは、

部屋から出て行った。


「えっ…と?」


孝介は、姉さんが出て行ったドアを

ただ呆然と見るしかできなかった。







こんにちは、

ここまで読んでいただいてありがとうございます。


コメントになかなか返信出来なくてすいません(ちゃんと読ませていただいています)


さて、物語もそろそろ大きく進めようと

思います。


最後にコメント、ハート、星

どれもありがたく創作意欲が湧きます、

よろしければお願いします。

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