間話
シスターの覚悟【シスター視点】
「ふぅ〜疲れた〜」
今日の発表会の手伝いをしてもらった人達
一人一人に挨拶して回った後
私は、礼拝堂の長い椅子に寝転ぶ
本当は行儀が悪いけど
…まぁ誰もいないから、いいっか!
主も許してくれるだろう。
「ハァ〜…シスター」
「あら、雪ちゃんおつかれ〜」
寝転んだまんま、雪弘くん事、
雪ちゃんを見る。
雪ちゃんは、
グテーとしている私を見て顔を顰めている。
真面目すぎるのよね〜
まぁそこが美点でもあるけど…
「牧師様にまた怒られるぞ」
「あら、今日はいないじゃない
だから、大丈夫」
「それは、本部に呼ばれてるからでしょ
それに、本部で
この教会の事なんて言われてるか」
今日、牧師様は日本の教会本部に呼ばれている。
理由は、この教会の活動方針を
聞きたいと言うものだった。
うちの教派は、比較的に寛容だが、
まぁうちがいろいろやり過ぎてるので
苦言を言われてるだろう
「いいじゃない、
言いたい人には言わせといたら」
「いや、本部に呼ばれたんだぞシスター」
「大丈夫、ちょっと注意されるぐらいだから」
「問題だろ」
「もう、雪ちゃんは心配性なんだから、
それに、問題だったとしても
止めるつもりはないから」
そう…この活動の数々を
牧師様も私も止めるつもりは、無い。
「なんでそこまで、この活動に…?」
「前にも言ったでしょ、
この教会を親しみやすい所にしたい、
活気ある所にしたいって」
…雪ちゃんは、納得していないみたいだね
雪ちゃんには、本当の理由は、
まだ言えない。
だって、雪ちゃんは将来牧師になりたいって、
言ってるけどまだ、他にも道があると知って
もらいたいから。
「…ハァ、とにかくここじゃなくて
部屋で休んでください」
「はぁ〜い」
知りたいことは、聞けないと諦めたのだろう
溜息を吐いて何処かに歩いていった。
「…よし、よいしょ!!」
椅子から立ち上がり、
礼拝堂から出る。
ー私は、子供が好き
ちっちゃくて、何事にも一生懸命で、
可愛いくてたまらない、
子供達には笑顔で幸せに過ごしてほしい
…だけど、世の中には色々な問題を抱えた子達がいる。
ある子は、
家族だと思ってた人達に捨てられ
心を閉ざした。
ある子は、
親から暴力を振るわれても耐え続けた。
ある子は、
妹の為に自らを犠牲にしていた。
ある子は、
姉の為に親を…
…私は、この子達の前では、無力だった。
もっと見て、話して、
寄り添えていれば、
守れたかもしれない!!
…過去は、変えられない…なら、
今を変えるしかない。
教会に、親しみやすさを活気をそれは、
目的ではなく、
傷ついた人を早く見つけ守る為の手段である
だから、この活動は、やめる訳にはいかない。
「シスター」
「?、あれ朝日ちゃんと夕奈ちゃん
どうしたのもう暗くなるよ?」
声の方向を見ると
双子で姉の朝日ちゃんと妹の夕奈ちゃん、
そして、時々教会に来てくれる女の子が立っていた。
「いや、私達も帰ろうとしてたんだけど
この子が一人でいる所を見ちゃって」
夕奈ちゃんが頭をかく。
「…それで、迷子かな?と
思ったんですけど、
それにしては様子がおかしくて、
こちらに」
と朝日ちゃんが呟く。
「…ふむ、」
私は少し考えた後、
しゃがみ込み女の子に、話しかける。
「こんばんは、君よく来てくれてる子だよね?どうしたの?」
「えっと…あの……あの」
女の子は、何かを伝えようとしてるが
おどおどして上手く話せない様だ。
ーこれは、ちょっと訳ありかな?
「大丈夫だよ〜、
ちょっとシスターとお話ししよっか?」
女の子の手を取り、優しく語りかける。
女の子は、コクリと縦に振った。
「うん、ごめん朝日ちゃん夕奈ちゃん
ちょっと二人で雪ちゃん呼んできてくれる?」
二人は、了承し雪ちゃんを呼びに行った。
「よし、それじゃ行こっか?」
女の子と手を繋ぎ
礼拝堂に入って行く。
私は、心の中で
ーどうかこの子をお守りください主よ
と祈りを捧げた。
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