光の聖女③

「久しぶりだね、孝介くん」


「お久しぶりです。シスター

 …うぷっ!!」


シスターのマチルダさんが抱きついて

頭を撫でてくる。


「やっぱり可愛いわね〜孝介くん

 やっぱりあの二人の子供だわ〜」


「しっシスター!?

 息…が!!」


「…シスター、孝介が死にそうですから

 離れてください。」


「えー、ってあら本当

 孝介くんごめんね」


はーはー、死ぬかと思った。


止めてくれた雪弘先輩は、

頭を抱えて。


「シスター、いつも言ってるでしょう

 孝介に抱きつくのはやめてくださいと」


「えーでも、憧れの先輩達の息子なのよ

 甘やかさないわけないじゃない、

 ……あっもしかして雪ちゃん

 嫉妬してるの〜」


「違います。それより

 何か用があるんですよね」


そう問いかけられたシスターは、

ハッとして、


「そうだった!!

 孝介くん借りていい?

 急ぎで人が欲しかったの」

 

「ハァなんでそんな重要な事を

 忘れるんですか、

 すまん孝介シスターの手伝いをしてくれ」


「わかりました」


「よろしくね孝介くん、

 じゃこっちついて来て」


孝介は、雪弘から離れシスターに

ついて行く事になった。

        ・

        ・

        ・

ドサッ

「フウ〜シスター

 これが最後ですか?」


「うんそれで最後よ

 お疲れ様」


フウーと汗を拭きながら孝介は、

近くの椅子に座る。

荷物運びもありなかなかの重労働だった。


「ごめんね、大変だったでしょう」


そう言いながらシスターは、

飲み物を渡してくれた。


「いえこれぐらいしか

 お役に立てませんから」


「フフやっぱり謙虚だね〜

 孝介くんは、昔と変わらない」


シスターのマチルダさんは、

両親と昔ながらの知り合いらしく

幼い頃からたびたび我が家に

遊びに来ていたりしていた関係だ。


「シスターこそ昔と全然変わりませんよ」


「そ〜お、ありがとう」


本当に、昔からまったく姿が変わってなく

歳をまったくとっていない様に見える。

詩織さんやシスターは、

ある意味不思議な存在だ。


「…なんか失礼な事考えてない?」


「いえ…なんでも」


怪しいな〜と言ってこちらを見る。


「とっところで聞きたいことがあったんですよ。」


「なぁに?」


「なんでここの教会ってこんなに

 大規模なイベントいくつも

 するようになったんですか?

 確か自分が小学校の時は、

 そうでもなかった記憶があるんですけど」


「………」

シスターは、

少し考えた後語り出した。


理由としては、

教会の認知度を上げる事だったらしい。


「数年前のここは、

 厳粛って言えばいい感じに聞こえるけど

 実際は、一週間に数人来ればいいって

 感じに寂れててね、

 それをなんとかしたいと言うのが理由かな」


確かに現在のここは、

活気あふれる教会になっており

親しみやすい場所になっている。


「まぁそのおかげで

 私とか神父様は、

 大忙しになったんだけどね」


「シスター達のお悩み相談

 大人気ですもんね」


「あれも楽しいんだけどね、

 長蛇の列になった時は、

 めまいを覚えたよ

 こんなに悩める人達がいるのかと」


とマチルダさんは、ため息を吐く


(シスターのお悩み相談か...)

孝介は、

日菜姉とのことが一番に思い浮かんだ。


「…あらあら孝介くんも悩み事あるみたいね

 例えば幼馴染のお姉ちゃんと

 気まずくなって話しづらくなっちゃたとか

 かしらね」


「!!」


シスターは、フフと笑みを浮かべていた。


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