光の聖女②

「いらっしゃい!!

 フライドポテトいかがですか!!」


「かき氷一つください」


「はいよ!!」


ガヤガヤ


「やっぱりすごいなここ」


「ええ、そうね」


孝介と里紗の二人は、教会に着いていた。


教会は、厳粛な雰囲気に包まれ...てるわけではなく

出店が立ち並びとても賑やかでまさしく

祭りの雰囲気だった。


「うん?来たか」


「「こんにちは、雪弘先輩」」


門の前でチラシを配っていた雪弘先輩が

こちらに向かってきた。


「ああ、手伝いに来てくれて

 すまないな孝介、

 それと里紗」


「いえ構いませんよ、それで何をすれば?」


「ああ...朝日!

 すまんこっち来てくれないか!!」


生徒会役員の双子の姉の方

三つ編みの朝日がこちらに来る

挨拶を交わした後雪弘先輩から、

役割を教わる。


「じゃ里紗は、朝日と一緒にチラシ配布を

 頼む」


「はい」


「それじゃ孝介は、ついて来てくれ」


「わかりました、それじゃ里紗」


ここで里紗とは、別れ雪弘先輩について行く


ガヤガヤ


「それにしても大盛況ですね」


「ああ、そのおかげで人でも足らなくてな

 朝日や夕奈にも手伝ってもらってるんだ

 もちろんお前たちにもな」


そう言う雪弘の顔は、

どこか苦々しい。


「先輩何か不満でも?」


「ん?いや...これでいいのかと思ってな

 …確かにいろんなイベントのおかげで

 教会に来る人が多くなったんだが」


「人が多い事はいい事では?」


「う〜ん...そうなんだが

 教会は、もっと厳粛な方が

 いいんじゃないかと思ってな...」


「あぁ...」


雪弘先輩は、教会はもっと落ち着いた厳粛な雰囲気の方がいいと思っているようだ。

確かにこの教会は少し...いや、だいぶ活発だ。


「いくぜー!おまえらー!!」


「「「おおー!!!」」」


突然教会の建物のなかから、

派手な音楽が流れてくる。


「えっと...」


「…確か今は、ご当地ロックバンドの

 演奏だな」


雪弘先輩が『ドキドキ☆教会発表会』と

書いてある一枚の紙を渡してくる。

そこには、プログラムが載っていた。


「ハァー主がおわす教会でこんな事して

 いいとは思えずな

 ...複雑なのだ」


雪弘先輩は、頭を抱える。

まぁ先輩の気持ちもわからないでは無い。


「また悩んでるの?

 まったく雪ちゃんは頭でっかちね」


「うん?…シスター」


声の方を振り返ると

優しい微笑みをした一人のシスターがいた。




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