光の聖女

(ハァ〜どうしよう...)


孝介は、ため息を吐きながら道を歩いて行く。


昨日、里紗が帰って来てくれた後

里紗が間に入ってくれて説得し、


なんとか日菜姉に納得してもらったが、

日菜姉との間に気まずさが残ってしまった。


「…ハァー」


「何ため息ついてるのよ?」


声の方を見るとそこには、里紗が立っていた。


「ああ、おはよう里紗、

 昨日は助かった。」


「はよ...

 まったく大変だったのよあの後も」


里紗が近くに寄って来て二人で教会に歩く

今日は、里紗も教会の手伝いに駆り出された

らしい。


「お姉ちゃんは、機嫌損ねてるし

 それをお母さんは、いじるから」


「何やってんだ、詩織さんは...」


「まぁなんとか宥めたけど、

 私自身、理解できてないけど

 孝介が女装を趣味にしてたのよね?」


「いやっ違うから!?」


「えっじゃなんだったの?

 私そうだと思って、

 それならと孝介の味方したんだけど

 ただ孝介が変態なだけだったの?

 ならドン引きなんだけど」


里紗は、じとーとこちらを見る。


「いや、詩織さんが

 あの手この手で着させようと

 してくるんだよ。」


「いや、それで孝介着てたんでしょ?」


「それは、小学生の頃は、訳がわからなくて

 中学生の時は、詩織さんが土下座して

 号泣しながらお願いしてきて

 断れなくて」


「うっ...何やってるのうちの母親は」


里紗は、頭を抱えた。

まぁ自分の母親がそんな事してたのだ

頭を抱えたくもなるだろう


「…昨日、詩織さんになんで

 俺を女装をさせたがるのか

 改めて聞いてみたんだ。」


「うん」


「そうすると、詩織さん曰く

 俺のお母さんの言葉だったらしい」


「……ハァ?」


里紗が首を傾げる。


「だから、生前うちのお母さんが、

 俺に女装をさせたがったらしい」


それを聞いた里紗は、困惑していた。

自分だって困惑している。


詩織さんが嘘をついてると言う

可能性の方が高いと思うが

何故かその時の詩織さんは、

嘘をついている感じでは無かったのだ。


だがそれだったら、

自分を産んでくれた母親が、

女装をさせたがっていたと言う事になる。


「「………」」


自分と里紗の間に、気まずい雰囲気が漂う。


「……まぁ深く突っ込まないわ

 取り敢えずお姉ちゃんには、

 改めて謝っておきなさい...色々と...」


「…あぁわかった。」


「…行きましょう」


「…ああ」


二人は、黙々と教会に向かった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る