整理のお手伝い②

詩織と孝介は、倉庫の前に立っていた。


「さぁそれじゃー孝介くん

 始めるわよ〜!!」


詩織さんが長い髪を一つにまとめて

気合を入れる。


何故二人だけなのかと言うと…


『私、バイトあるから』と

里紗は、いいバイトに向かい


日菜姉は、

『こうちゃんごめんね、

 私も午前中は、

 教会にお手伝いに行かないと』と言って、

出かけて行った。


その為倉庫整理は、

詩織さんと二人で行う事になった。


「ふむどうしたの孝介くん?

 ……あっもしかして、

 娘達がいなくて寂しいの?」


「違います」


「むう〜私だってあの子達に負けてないと

 思うけど」


「はいはい、負けてませんよ」


詩織さんは、体をくねくねしてこちらを

流し目で見てくる。


確かに詩織さんは、

高校生の娘がいる母親とは見えず

知らなければ大学生と言われても

納得してしまうほどの外見している。


先日も大学生にナンパされたと

自慢げに話していた。


「まぁ私は、あの人一筋だからね」


「知ってますよ

 …それでこれは、

 どこに置けばいいですか?」


孝介は、詩織の指示のもと荷物を整理していく


「あっそこに置いてくれる?

 と言うか孝介くん

 私に対して冷たくない?」


詩織さんは、頬を膨らませる。


「…そりゃ幼馴染の母親に

 ナンパされたの〜て言われて

 どう反応すればいいかわかりませんよ」


「いやそこは、

 詩織さんは、美人ですもんね〜とか」


「美人ですもんね〜」


「心こもってない〜!!

 …もう!

 性格がどんどんお父さんに

 似て来てない?」


「お父さんにですか?」


詩織さんは、何処か懐かしそうに


「そうよ〜

 彼は、子供の時から私に対して

 何処かおざなりだったのよね」


「子供の頃からって…

 詩織さんとお父さんって

 知り合いだったんですね」


「あれ、言ってなかった?

 知り合いって言うか幼馴染、

 君が赤ん坊の時も会ってるのよ」


「そうなんですか!?」


「そうよ〜

 ……だから、君を産んだお母さんの事も

 知ってるわ」


「!!」


産んでくれた実の母親は、

自分を産んだ後すぐに亡くなったらしい


そして、父さんはどんな人かも

話そうとしなかった為

自分は、何も母親の事を知らなかった。

その事を詩織さんに話すと


「ハァ…あのバカ…

 …もしかしたら、再婚したから

 彼女に遠慮したのかもしれないわね」


「…なるほど」


確かに幼い頃は、お母さんが

本当の母親だと思っていた。

そんな、自分に父さんは忖度したのだろう


「…孝介くんは、

 お母さんの事知りたい?」


…お母さんつまり自分を産んでくれた人…


孝介は、少しの間考えた後


「…はい、知りたいです」

と詩織さんに伝えた。


「…そう、わかったわ

 じゃあさっさと倉庫整理

 終わらせましょうか」


「はい!!」



孝介と詩織は、改めて倉庫整理を始めた。

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