姉さんのバイト
「……ごめんなさい」
孝介の目の前で鈴は、土下座をしている。
「姉さん…俺気にしてないですから」
姉さんは、泣き疲れて寝てしまった後
一時間ほど眠った後、突然目を覚まし
飛び上がり今にいたる。
「…でも、徹夜のテンションのまま
こうくんに、変な事を言ってしまったし」
「それは、そうですけど」
「やっぱり!!…ごめんね」
「いやっ!大丈夫です。
それより、徹夜したんですよね?
まだ寝てなくて大丈夫ですか?」
「あっうん、少し寝たおかげで
今は大丈夫だよ、こうくんこそ
私が…その…抱きしめていて、
身動き取れなかったでしょ…
辛くなかった?」
「いえ幸せでした」
「えっ?」
「いっいえ…」
つい本音が出てしまった。
「そっ…そう…」
やっやばい!、絶対引かれてる。
ほら!姉さん俯いちゃってるし、
「ほっほら!
家族に頼られて嬉しいくて、
幸せだな〜って思って」
「あっそう言う事?
…なんか恥ずかしいわ///」
姉さんが照れて顔を頬を赤くする
ふ〜なんとか誤魔化せたようだ。
「それに私、一時間も寝てたんでしょ
手持ち無沙汰だったんじゃ」
「あっそれは…」
孝介は、近くに置いてある本をチラリとみる。そこには、本が2作品置いてあった。
「もっもしかして、
こうくん私の本を見たの…?」
「えっはい近くにあったのですいません」
「そっそう……どっちを読んだの?」
「えっと〜」
読んでいた方の
『三男貴族の生きる道
〜跡取りにもなれないので
自由に生きたいと思います〜』
を手に取り姉さんに見せる。
「あっそっちね…よかったわ」ボソッ
姉さんは、何故かホッとしていた。
「?」
「なんでもないわ
それで…私の書いた小説どうだった?」
「……えっ!?
これ姉さんが書いた小説だったんですか?
すっ……ごく面白かったです!!」
姉さんが寝てる間に読んだので、
一巻しか読めなかったが、
とても面白かった。
貧乏領主の三男の主人公が、
少しの荷物と貯めていたお金を持って
中世風のファンタジー世界を旅する話で
何処か牧歌的な雰囲気もありながら、
魔物や人との熱いバトルや出会い
それを通して、
主人公が成長していく話しだった。
「主人公が行商人になって、
ゆったりと旅をするのもよかったし、
何より登場人物が魅力的で
早く続きを読みたいと思いましたよ!!」
面白かった所を一つ一つ姉さんに伝える。
姉さんは、それを嬉しそうに聞き
「フフ、ありがとうそんなに褒めてくれて、
それなら後で続きも読む?」
「はい読みたいです。
あっできればもう一つの方も」
そう言いつつ読んでない方の本を
手に取ろうとすると
スッと先に姉さんが手に取る。
「こっちは、見なくていいわ」
「えっ、でもせっかくだし」
「こっちは…女性向けなの」
「女性向け?」
「そう、だから、
男性にはおすすめできないわ」
「そうですか…わかりました」
「うん、そっちは見てもいいからね」
姉さんは、そう言いつつ手に持った本を
後ろに隠す。
そんなに見られたくない物なのかな?
…まぁいいか。
「わかりました、
それで、姉さん」
「うん?」
「これが姉さんのバイトなんですね」
「うんバイトと言うか仕事だけどね、
ごめんね守秘義務があるから
隠さないといけなかったから」
「いえ隠していた理由もわかりました」
「秘密にしてくれる?」
「もちろん」
「ありがとう」
姉さんは、ニコリと笑った。
気になって仕方なかったバイトのことも
知ることもできたし、
姉さんも元気になったし
これで一件落着かな?
……グウ〜
姉さんがお腹を押さえた。
「………聞いた?」
「……はい」
「くっ」
姉さんは、顔を赤くし俯いたが、
突然バチンと頬を叩き顔をあげる。
「ねっ姉さん?」
「こうくんまだ朝ごはん食べてないよね」
「はい」
「今から準備するから待ってて」
そう言い姉さんは、
いつものクールな顔に戻り立ち上がる。
「…姉さん、それじゃ誤魔化せてないと
思いますよ」
「……自分でもわかってるから
言わないで///」
こんにちは、今回で
『姉さんのバイト』終わります。
そして次回から『光の姉』が始まります。
そして、今更ですが100話超えられたこと
嬉しく思います。
処女作であるこの作品が、
ここまで続けられたのは、
皆様の応援のおかげです。
ありがとうございます。
これからも頑張りますのでよろしくお願いします。
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