不安定な姉
ポロポロポロ......
姉さんの目から涙が出ている。
余りにも突然だったので、
孝介は、困惑するしかなかった。
「ねっ姉さんどうしたんですか!?
えっと......あっ!
こけた時、何処か怪我したんですか?」
姉さんは、フルフルと首を横に振り
涙の量がどんどん増えて溢れてくる。
「えっ違う?
とっ取り敢えず座りましょう...ね」
………コクッ
姉さんを取り敢えず
座らせて………どうすればいいんだろう
孝介は、突然の事で頭が真っ白になっていた。
まさか、あのいつも冷静沈着な鈴が
こんなに感情を表に出し泣き出すとは
それも理由が分からないお手上げ状態だ。
「……グスッ」
鈴は、その間も涙を流し続けている。
「えっと…そうだ!
涙を拭きましょ、そうしましょう?」
孝介が涙を拭いてもらおうと
何か拭くものを探そうと周りを見渡すと
近くにティッシュが置いてあった為
取りに行こうとすると
ギュッと鈴姉さんが服の裾を掴んでくる。
「こう…くん
……私を捨てないで」
「……へ?
すっ捨てる姉さんを?
…どうゆう事ですか???」
(どっどうゆう事だ!?
冗談で言ってるようには、
見えないが)
「…グス…だって、
髪ボサボサだし服もアレだし」
「いや、俺が突然来たのが悪いんだし」
フルフルと横に首を振る。
「それに、小説書いてるの見られたし
うぅ……」
「???、
それは、別にいいんじゃないですか?
それに今姉さんから、
聞いて小説書いてたんだって…
…あっ!ごめんなさい
大丈夫だから姉さん泣かないで!」
姉さんの背中をさすりながら落ち着かせる。
「…グスッ…ごめんねこうくん…
こんな愚鈍で馬鹿で無能でガサツな姉で…
…いらないよね朝食作ることも忘れる
馬鹿な姉でーー!!」
姉さんが号泣する
(えぇ!!じょっ情緒が
…姉さんの情緒が
余りにも不安定すぎる!!)
「姉さん大丈夫ですよ、
俺が姉さんを捨てるなんてあり得ませんよ
それに、朝食作ってもらって
申し訳ないぐらいなんですから、
気にしないでください」
「気にしないでって、
…私が作った朝食…いらない?」
「いやいやいや、ありがたいですけど」
「じゃ、お世話していいのね」
「えっはい」
あれ?なんか少し違和感を感じたんだけど
…気のせいだろう。
「とにかく!
姉さんそんなに気にしないで
家族なんだから!!」
「うう…こうくんありがとうー!!」
「グフッ」
姉さんが涙を流しながら体勢を整え、
勢いよくタックルしてきた。
その衝撃で俺は、
後ろに押し倒されてしまった。
…本当にいつもの姉さんとは、全然違う
でも、姉さんがこんな不安を持っていたと
しれて少しよかったと思う。
俺は、姉さんの事
まだ全然知らないのかもしらない……ん?
「スー…スー…」
姉さんの声が聞こえなくなった為
腰に抱きついている姉さんを
見ると抱きつきながら
泣き疲れたのだろう寝てしまっている。
「えぇー…」
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