バイトの秘密? ②

…おかしい

あの日以来、姉さんはどこかよそよそしく

なり、バイトの事を極端にはぐらかすようになった。


(…なんであんなにバイトの事隠そうと

 するんだろう?

 守秘義務と言ってもあそこまで

 隠そうとするなんて

 まさか何か危険な事でも...)


いやと頭を振り孝介は、

思い浮かんだ考えを否定しようとするが

考えれば考えるほど悪い方に考えてしまう。


…もし姉さんが危ない事してるなら

 俺が……って?


そこでふと気づく、

いつもなら朝食を作りに来る姉さんが

今日は来ていない。


スマホの方を見ても連絡来ていない

昨日は、用事があると会えなかったが、

一昨日はいつも通りだったはず。


「もしかして、何かあったんじゃ

 ……よし!」


孝介は、立ち上がり玄関に向かい家を出て

隣の鈴の元に向かった。

ピーンポーンとチャイムを押すが返事が無い。


そこで、

ピーンポーンピーンポーン

何回かチャイムを鳴らすと


ガチャ

「………はい」


「………ねえ…さん?」


玄関から出てきた姉さんは、

髪はボサボサ、着ている服も

ダブダブのジャージ姿で、

いつも見ている姿とは、全くちがっていた。


「……こう…くん?……

 あっ!ごっごめんね」


姉さんは、自分の姿に気づいたのだろう

慌てて髪を整え始めた。

その時髪で隠れていた目元が見えて、


そこには、クマが深く刻まれており

昨日から、もしくは一昨日から

寝て無いのだろうと見てとれた。


「それで、こうくんどうしたの?」


「朝、なかなか来ないからもしかして

 何かあったんじゃないかと思って」


「え…あっ…ごっごめんね!!

 すぐ準備するからっ!……っあ!」


姉さんは、顔を青くして翻って

奥の部屋に行こうとするが

足が絡まってバタン!!と倒れてしまった。


「姉さん!!」


急いで姉さんのもとに駆け寄る。


「大丈夫ですか!」


「うっうん大丈夫」


倒れている姉さんに手を貸して

リビングに連れて行くが、


「………あ」


そこは、カーテンが締め切られており

机にはつけっぱなしのパソコンが

周りには、資料のような紙が散乱しており

何か作業中だったと思われた。


その光景を見た孝介は、

あぁバイトの作業中だったのかな

とか考えていたら、


隣から、

「…グスッ…」

と聞こえてきて、

姉さんの方を見ると




姉さんは、

涙をポロポロと流していた。


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