姉と神秘の部屋

「「ご馳走様でした」」


「どうだった、口にあった?」


「はい、本当に美味しかったですよ」


食後、椅子に座り鈴姉さんと話をしていた。

初めて食べたムサカだったがとても美味しかった。


「……あっもうこんな時間」


時間を見ると

姉さんがいつも帰る時間になっていた。


「そうですね、それじゃ今日はこれで」


と玄関まで見送ろうとするが、


「姉さん?」


姉さんが一向に立とうとしない

どうしたんですか?と聞いて見ると


「ねぇ、こうくん私に聞きたいことが

 あるんでしょ?」


「ッ!!」


「フフ、態度に出過ぎよこうくん

 それで何を聞きたいの?」

 

(そんなに態度に出ていたのだろうか)


確かに何度か里紗との会話を思い出して

姉さんに聞きたい欲求湧き上がっていたが、

必死に抑え込み隠せていたと思っていたが

バレバレだったようだ。


孝介は、再び椅子に座り覚悟を決める。


「鈴姉さん…いや西宮鈴さん…

 あなたは…本当に俺の

 お姉ちゃんですか?」


「……………へっ?」


鈴姉さんが口を開けて固まっている。


「え…あの…」


孝介も予想外のリアクションだったので、

戸惑ってしまいお互い無言の時間ができる。


そんな、気まずい時間を破ったのは、

鈴の深いため息だった。


「ハァ…、

 まさかそこからなの…予想外だわ…」

 

鈴姉さんが頭を抱えている。


「えっと…」


「ねぇ…どうして、そんな事思ったの?」


「それは、りっじゃなくて幼馴染でもなく

 そう!、知り合いがそう言ったんです。」


「…つまり、その知り合い?の

 話を鵜呑みにして疑い始めたって事?」


「えっ?…あっ!……はい」


孝介自身、まだ頭の中で整理しきれないまま見切り発車的に質問した為、

グダグダなり上手く返事を返すことができなかった。


そんな孝介を見て鈴は、

改めて深いため息をついて、


「……ハァ、

 これは里紗さんが心配して

 あんな行動に出た気持ちがわかったわ…

 …あれは、やりすぎたわね

 里紗さんには、後で謝りましょう」


鈴姉さんがブツブツと何か喋ってたが

突然キリッと顔を上げ


「…よし!、こうくん!!」


「はい!?」


「そんなに疑うなら、

 これから私の部屋に行きましょう!!」


「ヘっ…?

 鈴さんの部屋ですか?」


「ええそうよ、私の部屋ならこうくんとの

 思い出の物がいっぱいあるから、

 それを見せたら納得できるでしょ?」


鈴が聞くが、思春期真っ只中でもある

孝介はそれどころでは無く。


(えっ!?これから鈴姉さんの部屋に行くの

 そっそんな!年頃の女性の部屋に!?

 …でも鈴姉さんは、お姉ちゃんだし

 いやっ!?それを今俺は疑ってるわけで

 …どうすればいいの!?)


孝介は、頭の中で考えすぎてパンクしている。


そんな孝介に、待ちくたびれた鈴は、

立ち上がり。


「ほらっこうくん立って!いくよ!!」


孝介の手を握り、

無理矢理引っ張りながら、

連れて行く事にした。

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