幼馴染からの警告② 【里紗視点】

「お金か…」


目の前で孝介が考えている。


しかし、孝介がここまで

危機感の無い奴だとは、

思わなかった。


やっぱりお姉ちゃんが甘やかしすぎたのね。



私と孝介は、小学校からの付き合いだ

最初は、孝介にお姉ちゃんを取られると思い

嫌っていたが、孝介の境遇や性格の良さもあり


その上お姉ちゃんの好きな人と言うのも

あった為仲良くする様になった。


「里紗?」


「うん?考えまとまった?」


「うーんまぁ考えてみたけど

 お金じゃないと思うんだよね。」


「…そうでも、油断しないでね

 前も孝介のお金目当てで近づいてきた

 事あるんでしょう?」


「あーあれは…うん」


私は、詳しい事は知らないが

お姉ちゃんから聞いた話しだと

孝介の元義理の母が接近してきたらしい。


しかし、あまりにも不自然な上

その義母の家族とお金の事で揉めたこともあり、マスターが追い払ったらしい。


「まぁ取り敢えず、そんな事も考えられるから

 孝介気をつけなさいよ

 私は、西宮先輩は危険だと思うから」


「…うん」


孝介は、何処か納得していない様だ。


(ハァ本当に大丈夫なのか心配になるわ

 あの人は私とだと

 思うから余計にね)


「ハァ、それじゃ帰りましょうか」


「あぁわかった

 …それにしても何で

 ここまで心配してくれるんだ?」


「何でって…」


それは……罪悪感


…中学校の時、

孝介はいじめられていた。


その時私は、

助ければターゲットが私に移ると思い

助けずに見捨てていた。


その後、いじめ自体はお姉ちゃんが積極的に

動いたおかげでなくなったが、

わたしが見捨てたことには変わりない


なのに孝介、貴方は私を一切責めず

態度も変わらず接してくれた。

それが余りにも優しくてそして

自分の愚かさを実感した。


だから私は、

できる限り孝介の味方になるつもりでいる

あの時できなかった事をする

それはただの自己満足かもしれないけれど…


「…色々あるのよ」


「なんだよそれ」


「いいから、もう帰りましょ

 結構時間がたってるから」


孝介が時間を見る。


「うわっまじじゃん、

 それじゃ帰ろうぜ」


「ええ」


孝介と私は、公園から二人で帰ろうと出ようとするが、ある人影を見つける。


「あれって…」


「うん?どうした」


(ハァ…これは、失敗したわね

 一応確認したんだけど

 甘かったわね)


里紗は、

隙を見て孝介の持ち物や服を確認して、

怪しい物がないか確認していたが

相手の方が上手だったらしい。


「…ごめん孝介、やっぱり一人で帰る」


「ハァ?何でてか、家もう近くじゃん」


「いや、買わなきゃならない物があったの

 忘れてたのだから買いに行かないと」


「うん?そうなのかだったら

 俺も」


「いや、私が買いたいのは……なの」


孝介は、顔を真っ赤に染める。


「そっそうか、すまん気が利かなくて

 それじゃ俺は帰るわ

 じゃまた」


孝介は、そそくさと帰って行った。


「ハァ、孝介がうぶでよかったわ

 ただ下着を買いに行くってだけで

 あんなに慌てて」


「あら、そんな所が可愛いんじゃない」


「なるほど…そうゆうものですか」


里紗が、振り返る

そこには…


「こんにちは、西宮先輩」


「えぇこんにちは…東条里紗さん」


感情が一切読み取れない

笑顔の女性がいた。

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