幼馴染からの警告
「西宮鈴は、
あなたの本当のお姉ちゃんなの?」
「…何言ってんだ?
本当のお姉ちゃんに決まって」
「孝介、何でお姉ちゃんと思ったのか冷静に
聞かせて?」
里紗は、優しく語りかける。
「そっそれは、
鈴姉さんがお姉ちゃんだって」
「言うだけなら誰でも言えるよ」
「他の人が知らないはずの
思い出も知ってたし
料理だってちっちゃい頃
食べた味だったし」
「思い出や料理とかは、
本当の姉が話したかもしれないよ」
「ぐっ!
でもあの笑顔は!!」
「そんなに刷り込まれたら、
笑顔を見せられただけで
そう思っちゃうかもね」
孝介は、必死に伝えようとするが
里紗は、それを一つ一つに反論する。
ついに孝介は、頭にきて。
「つまり何がいいたいだ!
俺が騙されてるとでも!?」
「ハァ…落ち着きなさい
その可能性もあるって事よ」
里紗が落ち着かせようとする。
「お姉ちゃんも孝介も
余りにも簡単に信じすぎなのよ」
「もちろん孝介の気持ちもわかるわ
だけど冷静に思い返してみなさい」
孝介は、落ち着く為に近くにあった
ベンチに座る。
「孝介落ち着いた?」
「あぁ…何とかな」
と言いながら首を触る。
それを見た里紗は、気まずそうに
「あーごめん痛かったよね、
うわっ、赤くなってる
ちょっと待って」
里紗がハンカチを取り出し
濡らそうとするが
孝介は、静止して先に話をするように促す。
「大丈夫だから、話をしよう」
「そう?
それじゃ、一から考えて見よう
それじゃ最初に、
鈴さんと仲良くなった所から」
「あぁそれじゃ最初はー」
孝介は、鈴と出会った最初から話し始めた。
鈴が隣に引っ越してきた事
そこから、料理など一緒に
食べる中になった事
そして、現在の関係まで。
これを聞いた里紗は、
「ハァ…あんたバカ?」
頭を抱えて呆れていた。
「孝介…あんたちょっと抜けてる所は、
あるけどそれでも、
まともだと思ってたけど」
「ここまで危機感の無い奴だとは、
思わなかったわ」
里紗は、大きなため息をついた。
「そっそんなに言わなくても」
「あのね、普通の人間なら、
引っ越してきたばっかりの人を
自分の部屋にあげないの!!」
「でも、鈴先輩だったし、
学校でも有名人で知ってたから」
「知ってたからって、
話した事はあったの?」
「いや、挨拶ぐらい?」
「あのね!!
いやっもういいわ頭が痛くなってきたわ」
里紗が頭を押さえる。
「大丈夫か?」
「誰のせいだと!
…ハァー取り敢えず
孝介!約束しなさい!!」
里紗は、指をビシッとさしながら、
「これからは、知らない人を家に
むやみにあげない事
もしあげるとしても、
一旦考えてから行いなさいわかった?」
「あっあぁ」
孝介は、あまりの勢いに押されて
返事をした。
「ハァ待ったくお姉ちゃんの言ってた通りね
孝介あなたには、
一人暮らしは早かったわね」
パンッパンッ
里紗が手を叩く
「取り敢えず孝介の話した内容から
思った事を言うわね。」
「あぁわかった」
つい孝介は、ベンチの上で正座した。
「何で正座?
まぁいいわ、話を聞いた感想を言うと
無茶苦茶あやしすぎるわ」
「そんなに?」
「そんなによ、だっておかしいでしょ
生き別れた姉が、偶然同じ学校で
しかも隣に引っ越してくるなんて」
確かに冷静に考えて見るとおかしい
「それに、何で孝介が高校生になってから
接触してきたの?」
「それは、俺の場所が
分からなかったからじゃないのか?
引っ越しもしたし」
「あのね、調べればすぐわかるわよ
だって孝介は、祖父に引き取られたんだし
その祖父も店を持ってる」
「だったら、
そこにいるってのはわかるだろうし
マスターに会いたくないって言うなら
ここの学区を調べれば
中学の場所までわかるわよ」
「つ・ま・り、
接触しようと思えばできるのよ
それなのにわざわざ一年まって今頃
接触してくるのも怪しくない?」
里紗の話を聞いてると
改めておかしいと気づく
じゃ何故、鈴姉さんは自分に近づいてきたんだろう?
「なぁ里紗、じゃあさ
何で鈴姉さんが接触してきたと思う?」
「……それは、わからないわ
もしかしたら、
本当に孝介に会いたかっただけか
それとも…」
「それとも?」
里紗は、一瞬言い淀んだが覚悟を決めたらしく話し始めた。
「…それとも、
孝介のお金が目当てなのかも」
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